山本彩がアイドルそしてソロシンガーとしてNMB48をけん引し続けてきた意味【アイドルセンター論】
なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
NMB48 山本彩(前編)
今年で結成10周年の大阪・難波を拠点に活動するNMB48。この10年を振り返ってみても、多くの個性的なメンバーが活躍し卒業していったわけだが、その中でもひときわ重要なポジションに立ち、チームの成長に寄与してきたメンバーがいる。山本彩だ。
今回の「アイドルセンター論」ではチームのキャプテンとしてはもちろん、センターとしても絶対的な地位を築いてきた山本を、センター論という切り口で考えていきたい。その前に、まずは8年間の歩みを振り返っていくことにする。
2010年に結成されたNMB48の1期生メンバーとして加入した山本彩。2011年にキャプテンに任命されると、NMB48の表題曲でも数多くのセンターポジションを経験し、毎年行われている「AKB48 選抜総選挙」でも上位(最高4位)にランクインするなど、グループの顔として存在感を発揮してきた。
中でも2015年にはNHK連続テレビ小説『あさが来た』の主題歌にAKB48のカップリング曲『365日の紙飛行機』が起用され、そのセンターに山本が選ばれたことは大きなインパクトを残した。
朝ドラに起用されたことの意味は大きく、普段からAKB48を応援しているファン層以外にも訴求していき、ソロパートを任された山本の歌唱力の高さはお茶の間にも広がっていく。『恋するフォーチュンクッキー』以来となる新たなスタンダードナンバーとしてこの曲が広まった意義はかなり大きい。
そして2016年にはかねてからの夢であったシンガーソングライターとして本格的に活動を開始。10月にリリースされた1stアルバム『Rainbow』は、椎名林檎やGLAYなど数々のアーティストを手掛けてきた亀田誠治をサウンドプロデューサーに迎えたり、自身が作詞作曲をした楽曲も収録されていたりと、アーティスト志向の強い作品に。アイドル活動と並行しながら2018年には「METROCK」など大型フェスにも出演するなど、グループ在籍時からソロシンガーとしてコンスタントに活動していた。
過去にも多くのメンバーがソロデビューを果たしてきたが、アイドルの文脈に依存しない山本のソロシンガーとしての活動はレアなケースと言える。現在、山本はソロシンガーとして4枚のシングルと3枚のアルバムをリリースし、X JAPANのToshlや横山健といったアーティストからもシンガーとして高い評価を得ている。
2018年7月に開催された全国ツアー「NMB48 LIVE TOUR 2018 in Summer」の初日にNMB48からの卒業を発表した山本。同年10月リリースの19thシングル『僕だって泣いちゃうよ』ではセンターに選ばれ、11月に行われた卒業公演「ここにだって天使はいる」でアイドルとしての活動に終止符を打った。
卒業を決心した理由について「私がグループから離れる事が今以上にグループとして成長する良い起爆剤になるのではないかと思いました」(本人ツイッター)と話していた山本。NMB48の顔としてファンから愛されていた山本の卒業はグループにとって大きな出来事ではあったが、2020年のNMB48は白間美瑠らを中心にグループとしてさらに完成度が高まっている印象を受けるし、梅山恋和や山本彩加といった次世代メンバーの活躍も著しい。
山本がキャプテン兼センターとしてNMB48に残してきたもの、そして卒業後切り開いたシンガーソングライターというキャリアは、後輩メンバーに豊かな道筋を照らしている。
(文=川崎龍也)