タイムトラベルで過去に戻れば新型コロナの大流行を阻止できるのか? それは不可能と天体物理学者
過去に戻ればコロナのない世界を作り出せるのか? / Pixabay
2020年はある意味失われた年だった。できることなら過去に戻り、本来あるべきだった暮らしを取り戻したいところだ。
もしもタイムトラベルが可能だったとして、過去に戻れば新型コロナの大流行を防ぐことができたのだろうか?
だが残念なことに、もし過去に戻れたとしても今の現実とさして変わらないかもしれないという。アメリカ国立科学財団のプログラム責任者である天体物理学者ジョー・ペッシェ博士によると、時間の流れには自己修復機能がありからだそうだ。
・過去を変えると生じる奇妙なパラドックス
たとえば、あなたがタイムトラベルで新型コロナが大流行する前に戻り、感染者を1人も出さないことに成功したとする。
すると奇妙なことになる。そもそもあなたはパンデミックが起きたから、過去に戻ろうと思い立ったはずなのだ。
だがそれが防がれたとしたら、わざわざ過去に戻ろうなどと思うはずがない。だが、あなたが過去に戻らないのだとすれば、感染が食い止められるはずがない。
こうした堂々巡りの状況を「親殺しのパラドックス」という。そもそも自分が生まれる前に戻って親を殺したら、自分が生まれることはなく親が殺されるはずもないというパラドックスだ。

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・時間軸の自己修復機能が働く
しかしぺッシェ博士の説明よると、時間の流れには自己修復機能があり、こうした矛盾が生じないことが数学的に示されているのだという。
今回の例なら、感染を完全に抑えることに成功したあなた自身が最初の感染者となり、結局新型コロナは大流行してしまうといった具合だ。
「究極的に結末は同じです。ウイルスは大流行してしまうのです。細かい成り行きは変わるかもしれませんが、過去に戻っても結末を変えられないことが数学的に示されています」と、ペッシェ博士は説明する。

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・過去が変えられないなら悔いのない過去を作ればよい
ペッシェ博士の議論は、今年9月にオーストラリア・クイーンズランド大学の研究グループによって発表された一般相対性理論の論文に基づいたものだ。
この研究ではタイムトラベルによって生じる親殺しのパラドックスを解決するために、出来事の因果関係をビリヤードの球に例えて、過去に戻ってやり直したとしても、球が衝突を繰り返すことで結局は元の配置に戻ってしまうことを数学的に示した。
さて、本当に過去を変えることが不可能だったとしても、落胆する必要はない。逆に考えるのだ。
あなたがこれまで積み重ねてきた過去が、何者かの手によって勝手に修正されてしまうことはない、と。
あなたの過去は確実なものだ。明るい未来につながる悔いのない過去を残すには、今という瞬間を懸命に生きるしかない。できる限りの前向きな行動をしよう。あなたは今、それだけ貴重な時間を手にしているということだ。
References:thehill/ written by hiroching / edited by parumo