大関・貴景勝インタビュー「“無心”でつかんだ優勝の裏側」
2021年の大相撲が、1月10日に初日を迎える。白鵬は新型コロナ感染で休場、鶴竜の復活も気になるが、初場所の目玉は、昨年11月場所で2度目の優勝を果たした、大関・貴景勝の「綱取り」だ。その貴景勝に、初場所にかける意気込みを聞いた。
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ーー新しい年が明けました。改めまして、11月場所の優勝、おめでとうございます。優勝を決めた後のインタビューでは、涙ぐんでいるようにも見えましたが……。
貴景勝(以下、貴) ありがとうございます! そんなふうに見えましたか(笑)? (19年夏場所で)大関に上がってから、あまりいいことがなくて、精神的にもうひと踏ん張りしないといけないと思っていました。「大関として優勝する」ことは一つの目標だったの
で、良かったなぁ……とホッとしたし、あのときはとにかくうれしかったですね。
ーー千秋楽は照ノ富士関に星の差1つをつけて、結びの一番に臨みました。けれども、本割では、組み止められた後、浴びせ倒されて黒星。2敗同士の優勝決定戦になりましたね。
貴 ハイ。もちろん、本割一発で優勝を決めたいという気持ちでしたし、自分の中で作戦を練っていたんです。でも、結果は照ノ富士関に押し潰されてしまった。ホンマ、もう情けなくて、悔しくて……。決定戦は前に一度経験しているんですが(19年秋場所)、一度、支度部屋に戻って、決定戦までの時間は12分くらいしかないんですね。「短い時間の中で、適正な判断ができるのかな?」と考えてみたんですけど、それは難しい。それだったら、無心になって、これまで自分がやってきたことを全部、出せばいい。負けたら来場所、出直せばいいという気持ちに切り替えたんです。挑戦者として、新弟子の頃から強くなりたいと思っていた純粋な気持ちを相手にぶつけようと思ったんです。
ーー「無心」でつかんだ優勝だったわけですね。
貴 でも、自分一人では優勝できなかった。19年は大関昇進の場所で右膝を痛めて、途中休場。翌場所は全休して、大関から陥落した。そこから、なんとか復帰しましたけど、調子が悪いときでも、どんなときでも、師匠(常盤山親方=元小結・隆三杉)や、おかみさんが懐で守ってくれた。部屋のみんなや、ふだんからサポートしてくれる方々の力もあります。とにかく、みんなに感謝の気持ちしかないですね。
■気になる私生活も
ーー決定戦の相手、照ノ富士関はどんな存在ですか?
貴 照ノ富士関は、自分が関取に上がったときに、大関を張っていた力士ですから。ケガで番付を下げていますけど、地力もあるし、「大関復帰」を公言されていますよね。本当に強いと思うし、これからも何度も戦う相手だと思っています。
ーー年末の合同稽古では、横綱・白鵬関とも胸を合わせました。横綱は「先場所の優勝力士なので、いい稽古ができた。育てるのも自分の役目」と、稽古の充実ぶりを語っていましたね。
貴 ありがたいことです。横綱と最後に稽古させていただいたのは、たしか19年の春場所前のこと。横綱の強さを実際に肌で感じることができましたし、立ち合いの低さも改めて感じて、勉強になりました。稽古は勝ち負けではなくて、自分がどういう攻めをしていくかを一生懸命考える場だと思います。今回の合同稽古は、実戦感覚を磨くことができて、良かったと思っています。
ーー私生活では、昨年11月に4歳上で、二十山親方(元大関・北天佑=故人)の次女・有希奈さんと結婚。出会いは、テレビ番組での共演だったとか?
貴 ……まあ、そんな感じですね(笑)。気が合ったというか、話していても、いろいろ自分を気遣ってくれるところがうれしいです。
ーー結婚して変わったことなどはありますか?
貴 生活にあまり変化はないんですけど、「一人じゃない」という気持ちを持てているところがいいかな? 結婚前、マンションで独り暮らしをしていたときは、自分で不器用な料理を作ったりもしましたが、今、妻が作ってくれる料理はなんでもおいしいです(笑)。
現在発売中の『週刊大衆』1月25日号では、元大関・豪栄道として活躍した武隈親方の初場所優勝予想も掲載している。