定期的に午後の昼寝をすることで、認知機能が向上するという研究結果
午後の昼寝が認知機能を向上させる / Pixabay
昼寝が体に良いという研究結果は数多くある。子供の幸福度や学力が向上する、といったものから、血圧を下げる作用があるなど、その効果は様々な分野に及んでいる。
そして今回、新たに発表された研究によると、昼寝の習慣をつけることで認知機能が向上するというのだ。特に高齢者に効果があるという。
・2000人以上を対象に昼寝と認知症の関連性を調査
『General Psychiatry』誌に発表された研究によると、短時間の昼寝は、記憶力、位置の認識力、言葉の流暢さなどと関わりがあるようだ。
平均寿命が長くなったことや、それに伴う神経変性の変化によって、認知症になる可能性が高まり、先進国では65歳以上の10人にひとりが、その予備軍だと言われている。
人は年をとるにつれ、睡眠パターンが変化していき、午後に昼寝することが多くなる。
しかし、これまでに発表された研究では、昼寝が高齢者の認知機能低下や認知症を食い止めるのに役立つのか、実は認知症の症状そのものなのか、はっきりした意見の一致は得られていなかった。
そこで研究者たちはさらに研究を進めるため、中国の北京、上海、西安など大都市に住む60歳以上の健康な2214人を対象に調査をした。
2214人中1534人は、定期的に昼寝をし、680人は昼寝はしないという。被験者全員は一連の健康診断や、認知症チェックのためのミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)を受けた。

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・定期的に昼寝をする人の方が認知機能が高いことが判明
夜間の睡眠時間は、昼寝をする人もしない人も平均6.5時間前後だった。
ここでいう昼寝とは、昼食をとった後、少なくとも5分から2時間未満の間、継続してとる睡眠のこと。被験者の昼寝をする頻度は、週に一度から毎日までさまざまだった。
空間視覚スキル、作業記憶、注意力持続時間、問題解決力、位置認識、言語の流暢さなど、認知機能のさまざまな面を測る30項目によって、認知症が疑われるかどうかの選別試験が行われた。
結果的に、MMSEの認知パフォーマンス成績は、昼寝をしない人よりもする人のほうが高かった。特に顕著な違いがあったのは、位置認識、言語の流暢さや記憶力などの認知機能だった。

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・あくまでも観察研究
だが、これは観察研究であって、その原因をはっきり特定することはできない。
昼寝の持続時間や昼寝をするタイミングなどの情報もまだないが、もしかしたら、その関わりも重要なことなのかもしれない。
「いくつかの研究からは、午後の昼寝は高齢者の認知機能を促進することがわかっていますが、一方では、まるで正反対の結果も出ています」研究者は書いている。
「今回の研究結果は、高齢者で昼寝をする人の高い認知能力が、前者の観察を裏づけています」

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・昼寝とメタボの関連性も示唆される
また、この研究では、中性脂肪であるトリグリセリドの量も計測した。研究結果からは、頻繁に昼寝をする人は、このトリグリセリドの値が高いことがわかった。
つまりメタボリックシンドローム(メタボ)だということだ。座りがちな生活など、じっとしている生活スタイルが定着している人は、昼寝をする頻度が多いという。となると、昼寝が健康にいいのか、悪いのか、はっきりわからなくなる。
昼寝と健康状態の悪化の間で仲介になっているのは炎症ではないかというひとつの説がある。炎症化学物質は、睡眠障害に重要な役割を果たしているからだ。
病気や細胞のダメージが起こるとき、昼寝が炎症反応を調整するのを助ける可能性があるという。睡眠は体の免疫反応を調節するため、昼寝は炎症に対する進化した反応と考えられている。だから、炎症レベルが高い人ほど、よく昼寝をすると、研究者は説明する。
高齢になると昼寝が習慣化する傾向があるが、昼寝が認証症やその他の認知機能低下を防ぐのを助けるかどうかは、はっきりと断言はできない。
だが今のところ、昼寝は私たちにとっていいことであり、一般的に、十分な睡眠や休息をとることは健康のために不可欠であるという考えは共通認識になっているようだ。
References:neurosciencenews / gpsych/ written by konohazuku / edited by parumo