武藤敬司「58歳の新チャンピオン」生涯現役インタビュー!

日刊大衆

武藤敬司
武藤敬司

 今年2月21日、プロレスの歴史に新たな1ページが加わった。プロレスリング・ノア武道館大会で、58歳の挑戦者・武藤敬司が、王者の潮崎豪(39)を破り、GHCヘビー級王者のベルトを腰に巻いたのだ。

 1984年にアントニオ猪木率いる新日本プロレスでデビュー後、武藤敬司として、またグレート・ムタとして、団体の象徴であるIWGPヘビー級王座を4度、ジャイアント馬場が創設した全日本プロレスの三冠ヘビー級王座を3度巻くなど、国内外のタイトルを総なめしてきた。

 今回、GHCのベルトを巻いたことで、武藤は「国内主要3団体シングルヘビー級王座戴冠」を成し遂げた3人目のプロレスラーとなった。年齢を重ねても、輝きを放ち続ける「プロレスの天才」を直撃した!

*    *

ーー58歳でのGHCヘビー級王座奪取、おめでとうございます!

武藤 ありがとうございます。みんな俺が負けると思ってたみたいで、その分、意外な結果に驚いた反響が多いというか(笑)。でも、おかげさまで「いい試合だった」「今年のベストバウトだ」なんていう声も聞こえてきたんで、よかったと思ってますよ。

ーー試合前は「58歳の人間がタイトルに挑戦」への賛否に対して、少し敏感になっていたとか。

武藤 やっぱり、他のスポーツじゃ、ありえないことだからね。「58歳のヤツが挑戦できるのかよ?」って捉える人もいるはずだし。だって、『サザエさん』の磯野波平だって54歳で、俺より4つも下だもん(笑)。

ーー波平さん、意外と若いんですね(笑)。

武藤 猪木さんや馬場さんが最後にシングルのタイトルマッチをやったのだって、40代後半らしいからね。だから、俺がプロレス界のイメージを落としてしまうのではという、ちょっとした怖さはあった。でも、引っ込むより、やって文句を言われたほうがいいと思ってね。

ーー実際、そんな批判的な声を吹き飛ばす試合でした。

武藤 プロレスって“答え”がないもので、お客さんが判断することだからね。手応え的には、観客を俺の手のひらの上で転がしたような感覚がありますよ。

■リングを降りたら、何もできない

ーーコロナ禍での試合で、観客はマスク着用、声を出しての応援も制限されていましたが、試合が進むにつれて客席も熱を帯びていきました。

武藤 プロレスファンの多くは、俺のことを長く追ってくれてるんですよ。だから俺の膝が壊れていることも、(必殺技の)ムーンサルトプレスがもうできないのも知ってる。試合の中で、そういうファンの記憶に訴える動きを挟み込んでるから、感情移入しやすいんだと思う。そこはキャリアを積んだ者の強みだよね。あとは、この年になると、試合中ホントに苦しいからさ、表情とかにリアリティがあるんだよ。逆に言えば、若い頃は、いかに痛みや苦しさを表現したとしても、今よりリアリティがなかったんだろうな(笑)。そういう意味では、昔より今のほうが、より観客の心に訴えることはできているよね。

 激闘の代償として、武藤は20代から膝のケガとも闘ってきた。10年ほど前からは私生活にも支障をきたすほど悪化しており、2018年には両膝の人工関節置換手術を受けた。今回は、人工関節となってから初めての「タイトルマッチ」でもあった。

ーー膝は人工関節を入れて、かなり良くなったんですか。

武藤 そうだね。人工関節手術をする前、45~55歳くらいの武藤敬司って暗黒時代だったからね。膝が痛くて膝をテーピングでガチガチに固めなかったら、リングに上がることすらできなかった。そのときと比べたら、今のほうがいい。練習も前よりはできるしさ。ただ、親からいただいた膝とは、だいぶ違うけどね。

ーー最悪な頃と比べれば、の話で、膝の問題が解決したわけじゃないんですね。

武藤 うん。俺はリングの下に降りたら、何もできないからね。30メートル歩くのだってやっとだから。普通に立ってることすらできない。だけど、リングに上がれば動けるんだよ。不思議だよね。四方から観客に見られている意識があるし、アドレナリンも出るから。まあ、リングの魔力ですよ。

 現在発売中の『週刊大衆』3月22日号では、武藤敬司の真摯な素顔にふれている。

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