逃げ回る者をうまく斬首するには?江戸時代の武士道バイブル『葉隠』による介錯のコツ (2/3ページ)
【意訳】介錯のコツについて、野田喜左衛門(のだ きざゑもん)が話したこと。
「いざ切腹の場に臨んで、命が惜しくなって這いずり、逃げ回る者を無理に斬ろうとすると、多分に失敗してしまうものである。そういう時は、とりあえず騒ぐだけ騒がせておいて、ふと我に返った瞬間を逃さず斬ると失敗しない」と聞いたそうである。
※文末が伝聞調なのは、作者の山本常朝(やまもと じょうちょう)が、野田喜左衛門から聞いた話を、田代陣基(たしろ つらもと)に書きとらせているためです。
【野田喜左衛門】諱は能明(よしあき)。佐賀藩士・山口庄左衛門(やまぐち しょうざゑもん)の子で、野田善右衛門清常(のだ ぜんゑもんきよつね)の養子になる。元禄8年(1695年)没。
いくら日ごろ覚悟しているつもりでも、いざ切腹となるとその覚悟が揺らぎ、つい不覚をとってしまうことは誰しもありうることですが、介錯する側はそうもいきません。
介錯は一太刀で仕留めることを基本とし、これを仕損じることは大きな恥とされました。一太刀で仕留めなければ次の瞬間に反撃される(自分が殺される)可能性もあり、常在戦場(じょうざいせんじょう。