志村けんが千鳥・大吾と最後にコントを演じた女装キャラ「ひとみばあさん」
みんな大好き志村けん氏。今回、本誌では「女性」という観点から氏を検証。といっても、下衆雑誌と一線を画す我々、スキャンダルな下半身ネタには目もくれず、「ネタにおける女性の役割」にのみ着目。そこから見えてきたものとは?
ここでは志村が演じる「女性」を紹介。君は「変なおじさん」派? それとも「ひとみばあさん」派?
▼ひとみばあさん
温泉宿のマッサージ師、ゴルフのキャディー、旅館の女中、バスガイドなど、いろんな世界に存在するポンコツなおばあさん。突き出した前髪に度の強いメガネをかけたひとみばあさんは、「ンフンフンフンフ」と荒い鼻息で声を震わせながら自分語りを始め、その後も噛み合わない会話が続き、男性(田代まさしや肥後克広)を振り回す。
そもそも耳が遠く、大声を出さないと気付かないが、声が大きすぎると驚いてしまう。男性客に欲情して「女は骨になるまで求めるもの」と女であることを忘れない。
モデルになっているのは新宿の24時間やってる居酒屋の女将のひとみさん。この女将を気に入った志村は、床山(カツラ屋)を店に連れて行って、「あの頭を作ってくれる?」と頼んだという。ただ、ご本人は普通のしゃべり方をしているのだそう。
太地喜和子は志村のひとみばあさんをベタ褒め。座員にVTRを見せて「志村さんは本物のおばあさんに見えるでしょ。だからおかしいのよ。芝居をするんじゃないの。そう見えるか見えないかなのよ」と話したそう。
20年3月に放送された『志村けんのだいじょうぶだぁ スペシャル』(フジ系)の、千鳥・大悟とのコントが最後のひとみばあさんとなった。
■志村と柄本が扮する売れない芸者が…
▼芸者
志村と柄本明が扮する売れない芸者が、若い女の言動や時事問題を「世も末よねぇ~」と前歯を隠しながらグチり、「そういえば、この間貸したお金のことだけど…」と言い争いに……。
一応台本はあるのだが、楽屋で1回本読みすると内容がガラッと変わってしまうという。お互いに変なことをやりたくなってしまうのだ。そんなこともあって、稽古もカメリハもなく、いきなり本番に臨んでいる。
志村は柄本との「真剣勝負」にいつも緊張していたが、柄本も緊張していたようで、本番前は楽屋でワンカップを飲んでいた。おでん屋のコントでは、小道具のグラスに焼酎を入れて飲みながらやったこともあり、柄本は「助かります」と感謝していたという。
芸者コントは「顔」が印象的だが、本番10秒前に柄本が「この顔でいきます」と鼻の下を伸ばすと、志村は「じゃあ、僕はこの顔で」とアゴを突き出した。「顔」もアドリブだったのだ。
19年9月放送の『行列のできる法律相談所』(日テレ系)で、柄本が初めて「なぜオファーしてくれたのか」と聞くと、志村は「この人、実際そばで見てみたいっていうのがあった。笑いとかやるには得な顔。ちょっと欲しいな、その顔って」と答えた。芸者コントの肝は「顔」なのだ。
(EX大衆4月号「志村けんと女性たち」女装)文●大貫真之介