皐月、仲夏、浴蘭月…「5月」のいろいろな呼び方が味わい深くて面白い!

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皐月、仲夏、浴蘭月…「5月」のいろいろな呼び方が味わい深くて面白い!

早いもので、令和3年(2021年)も1/3が終わってしまいました。歳を重ねるにつれ、この話題が出てくる頻度が多くなるのは、なぜなのでしょうね。

5月5日は子どもの日。錦絵「子供遊 端午のにぎわい」より。

さて、泣いても笑ってもやってくる5月は、その旧称を皐月(さつき)と言います。その美しい響きに日本語の豊かさを感じずにはいられませんが、どうして皐月と言うのでしょうか。

また、5月には色々な別名もあり、今回は5月の旧称・皐月ともども、その由来を紹介したいと思います。

田植え(さ)の月だから「さつき」

皐月の「さ」という言葉は古来「田植え」を意味しており、田植えの月なので「さつき」、また植える稲の苗を月の名前にした「早苗月(さなえづき)」が短縮されたとも言われています。

田植えをする早乙女(さおとめ)たちも「田植え乙女」が語源。

(※)余談ながら、現代では女性の名前として広まっている早苗さんですが、元々は男性の名前として使われていました。ほか、稲作関連では瑞穂(みずほ)、千秋(ちあき)なども男性名でした。

ただし、奈良時代の歴史書『日本書紀(にほんしょき)』などにおいて「さつき」は「皐月」でなく「五月」と書いており、皐月という表現は漢籍(かんせき。古代中国の書物)から持ってきた「コウゲツ(皐月)」に由来するようです。

ちなみに、皐という漢字は「神様に奉げる稲」という意味があり、これから稲を天地の神に奉げる田植えの月にピッタリとも言えます。

「田植えの月」を意味する「さつき」が先にあって、それが5月だから「五月」をそのまま読んだり、漢籍から「皐月」を当てたりしたのですね。

他にもたくさん!使い分けたい5月の別称いろいろ

皐月(さつき)を知っているだけでも十分ですが、他にもいろいろな呼び方をしっておくと、例えば
「雨が多くて嫌になる。5月を月不見月(つきみずづき)なんて言うけど、本当だね」
など、季節の味わいを楽しめるものです。

菖蒲月(あやめづき) 橘月(たちばなづき)

これらの花が美しく咲き、見ごろを迎えることからシンプルにそう呼ばれます。

梅月(ばいげつ)

こちらは梅の花ではなく、梅の実がなるためにそのように呼ばれます。梅雨(ばいう、つゆ)にも通じますね。

稲苗月(いななえづき) 田草月(たぐさづき)

田草とは雑草ではなく稲の苗を指し、これらも田植えの月を意味します。

雨月(うげつ) 五月雨月(さみだれづき) 月不見月(つきみずづき)

降る音や 耳も酸うなる 梅の雨ー松尾芭蕉(イメージ)。

これらは文字通り雨が多いこと(旧暦5月はおおむね現代の6月≒梅雨)を意味し、それで月も見られない、という訳ですね。

五色月(いいろづき、いろいろづき)

五とは具体的なものではなく「たくさん(でありながらゴチャつかず、調和のとれた種類や量)」を意味しており、さまざまな花が咲き、みどり豊かな様子を表わしています。

建午月(けんごづき)

ウシ(丑)じゃなくて、ウマ(午)です。注意!

冬至(旧暦11月)を起点(ネズミ、子)にカウントする古代中国の暦で、干支で7番目(子、丑、寅、卯、辰、巳、午)の月なので、こう呼ぶそうです。

仲夏(ちゅうか)

旧暦では1~3月を春、4~6月を夏(以下略)とし、夏の真ん中の月なので、3人兄弟の2番目を意味する仲(※実力伯仲、などと言うアレです)を当てたものです。

ちなみに長男は孟夏(もうか)、末っ子の三男は季夏(きか)と言い、他の季節にも当てはめられます。

浴蘭月(よくらんげつ)

古代中国では、旧暦5月5日に蘭草(らんそう。ランの花ではなくフジバカマ)をひたしたお風呂につかって心身のケガレや災いを祓ったそうで、日本の菖蒲湯ににていますね。

五月病に注意しましょう(イメージ)。

今年もGW(ゴールデンウイーク)は新型コロナウィルス感染防止のため、GW(我慢ウィーク)となりそうですが、身近なところで季節の風情を味わいながら、明るく楽しく過ごしたいですね!

※参考文献:
角川書店 編『俳句歳時記 第五版 夏』角川書店、2018年5月
伊宮伶『異名・別名の辞典』新典社、2003年7月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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