戦国大名もジョークがお好き?伊達政宗の「ひょうたんから駒」エピソード
時は戦国乱世、血で血を洗う死闘が全国各地で繰り広げられる中、大名や武将たちは必死に生き抜いていました。
とは言っても、やはり彼らも人間ですから、時には緊張をときほぐし、ジョークの一つも楽しみたいのが人情というもの。
そこで今回は、戦国大名の中でも親父ギャグが好きだったらしい伊達政宗(だて まさむね)のエピソードを紹介。
これが面白いかどうかはともかく、温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
政宗、プレゼント交換会を企画するさて、今は昔の慶長19年(1614年)、政宗は陣中の気晴らしとしてレクリエーションを思いつきます。
「みんなでプレゼント交換会をやろう!それぞれとっておきの宝物を持ち寄って、ゲームに勝った順に好きなモノを選べるようにしよう!」
こういうことを言われると、つい見栄を張りたくなってしまうのが人間の可愛いところで、呼びかけられた者たちは鞍の泥障(あおり)や弓矢など、自慢の宝を次々と持ち寄りました。
「ほう、これは逸品……あれは業物……どれもこれも素晴らしくて、選ぶのに目移りしてしまいますなぁ!」
まだゲームに勝ってもいないのに迷い始める者がいるくらい、お城の中庭は宝物がうずたかく積み上げられていきます。
「ところで、伊達殿の宝物は何じゃ?」
「さぁ、まだお越しでないようだが?」
政宗は後世「伊達男(だておとこ)」の語源になったほどセンス抜群なお洒落好き。さぞや絶品を持ってくるに違いない……誰もが期待していたところへ、政宗がやって来ました。
「……あれ?」
政宗が手に持っていたのは、古びて汚い瓢箪(ひょうたん)が一つ。どうやらこれがプレゼントとのこと。
「……はぁ、さいで」
みんなの拍子抜けぶりが目に浮かぶようです。
瓢箪は誰の手に?まぁ、何はともあれゲーム大会がスタートしました。
「絶対に、あの瓢箪≒ビリッケツだけは避けたい!」
競技種目に選ばれたのは、お香を聞いて(=かいで)その銘柄を当てるという香合わせ。流石は政宗、陣中にあってもお洒落な趣向ですね。
やがて勝者が決まっていき、みんなで持ち寄った宝物が次々と選ばれていきますが、案の定、政宗の瓢箪だけは選ばれません。
そしてついに、ビリッケツとなった武将が、たった一つ残された瓢箪を手にとりました。
「あーあ……プレゼント、結構とっておきだったのにな……その引き換えがこれか……」
帰ったら、まず女房に吊し上げられるだろうな……そう思ってガックリうなだれ、ため息をついた次の瞬間。
「おーい!『瓢箪から駒』だぞ!」
「はい?」
政宗の声に振り返ると、そこには奥州随一の名馬が用意されていました。
ビリッケツの優勝者「あの……これは?」
「その瓢箪から出てきた駒(馬)だから、そなたのものだ!くれてやる!」
それでようやく、政宗の意図が理解できました。
政宗は最初からこの名馬をプレゼントするつもりでしたが、ことわざの「瓢箪から駒」を再現したくて、こんな趣向をこらしたのです。
「はぁ、しょうもな……」
それにしても、実に立派な名馬です。恐らく、どの家中においてこれ以上の馬を持つ者はそうそういないでしょう。
みんなは苦笑するやら「伊達殿ならば、ただ瓢箪ではないはずだ」という可能性を信じておけばと悔しがるやら。
今回の勝者?は、間違いなくその者で決まりだったということです。
「これがホントの『瓢箪から駒』、なんちゃって(笑)」
とかくイケメン&伊達男なイメージの政宗も、意外と親父ギャグが好きだったなんて、ちょっと親近感が湧きますよね。ね?
※参考文献
川和二十六『戦国時代 100の大ウソ』鉄人文庫、2018年4月
岡谷繁実『名将言行録 現代語訳』講談社学術文庫、2013年6月
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