時間が圧縮されるだと?VR(仮想現実)ゲームをプレイすると時の流れが速く感じることが判明

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ゲームは楽しい。ほんの少しプレイしただけのつもりが、気がつくと何時間も経過していたなんてことはザラだ。だがそれが、仮想現実(VR)になるとさらに時間の流を早く感じるそうだ。
新たなる研究によると、VRゲームには「時間圧縮」効果が強く働くことが判明した。ある種の浦島太郎現象である。
・楽しい時間はあっという間に過ぎる「時間圧縮」効果
こうした現象を「時間圧縮」効果という。楽しい時間があっという間に過ぎ去ることは周知の通りだ。
だがゲームマニアを自認する米カリフォルニア大学サンタクルス校のグレイソン・ミューレン氏は、学生時代に友達の家でVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)のゲームをプレイしたときにさらに奇妙な体験をした。
「プレイを止めたとき、一体どのくらい時間が経ったのかまったくわからなかったんです」
どのくらいプレイしていたか検討もつかないために、プレイし過ぎたのではないかと心配になったほどだったという。

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・VRではテレビゲームと比べて28.5%も時間圧縮効果が高まる
『Timing & Time Perception』(5月3日付)に掲載された研究は、こんな経験がきっかけになって行われた。もしかしたらVRゲームがもたらす時間圧縮は、従来のディスプレイゲーム(テレビゲーム)とは違うのではないだろうか?
それを確かめるため、ミューレン氏は迷路ゲームを作り、学生41名にVRと普通のディスプレイの両方でプレイ(プレイの順番は人によって違う)してもらうことにした。
プレイしていい時間は5分だけだ。ただし時計を見ることはできず、被験者は5分経過したと思った時点でプレイを止めなければならない。もしVRとディスプレイとで時間感覚に与える影響に違いがあるのなら、プレイ時間に差が出るはずだ。
そして案の定、最初にVR版をプレイした人はプレイ時間が平均72.6秒長かった。つまり仮想現実で過ごした時間の感覚が28.5%圧縮されていたということだ。
ただし、これには注意が必要だ。というのも、最初にディスプレイ版をプレイしてからVR版をプレイした人の場合、時間圧縮効果が元に戻ったかのようだったからだ。
このことは、時間圧縮には物珍しさや「アンカリング」(先行する体験によってその後の判断が歪められる認知バイアス)も関係しているらしいことを示している。

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・なぜVRは強力な時間圧縮を生じさせるのか?
一体なぜVRは強力な時間圧縮を生じさせるのだろうか? 可能性としてミューレン氏が指摘するのは、VRの場合、”身体意識”が乏しくなるということだ。
VRヘッドセットを装着して視線を下げても、そこに自分の体はない。せいぜい簡略化されたCGの体が見える程度だろう。人間はそれを自分のものとは感じられない。
研究グループのニコラス・ダヴィデンコ氏によると、脳は時間経過を把握する手がかりとして、心臓の鼓動といった体のリズムを利用している可能性があるという。VRに入り込むと、そうした感覚が薄れてしまう。だから強烈な時間圧縮が起きるのではないか?——これが彼らの仮説だ。
ところで、時間は私たちの生活を維持するために必要不可欠なものだが、ストレスの原因でもあるようだ。その証拠に、時間がまったくわからない洞窟で過ごした冒険者たちは、ずいぶんその生活を気に入っていたようだ。
References:Virtual Reality Warps Your Sense of Time - Neuroscience News / Virtual reality warps your sense of time: Psychology research demonstrates unique 'time compression' effect of virtual reality -- ScienceDaily/ written by hiroching / edited by parumo