アニメ『スーパーカブ』“二人乗り論争”の焦点は? 炎上の原因は原作改悪か
現在放送中のアニメ『スーパーカブ』(TOKYO MXほか)の第6話で〝道路交通法〟に違反するシーンが登場し、ネット上で物議を醸している。一部のファンは「現実とフィクションを混同するな」という決まり文句のような擁護を繰り広げているが、この主張は本当に正しいのだろうか?
騒動のきっかけとなったのは、同作のワンシーンを法律に照らし合わせて検証した『弁護士ドットコム』の記事。物語の中で主人公の女の子・小熊は、同級生の礼子とスーパーカブで二人乗りをしているのだが、普通自動二輪車免許を取得して1年未満だと違反行為になるという。
たしかに小熊は免許を取得したばかりなので、道路交通法を無視していたことになる。実際にこのシーンに違和感を抱く人は多かったようで、《制作陣は道路交通法を知らないのか?》《日常アニメで主人公が犯罪行為をするのはちょっと…》《好きな作品だけど、二人乗りのシーンだけはモヤっとした》といったツッコミの声が続出。二人乗りのシーンはちょっとした炎上騒動に発展した。
しかし〝現実〟を基準として作品が批判された際に、アニメファンは「現実とフィクションをごっちゃにするな」という主張を行うもの。今回も同様の反論で溢れかえっており、ツイッター上ではアニメ好きのお笑い芸人『ハライチ』岩井勇気が「スーパーカブ」を批判する人を揶揄。「そういう人はルパン三世観て『窃盗は犯罪行為だから放送するな!』ってクレーム入れ続けてんのかな」と皮肉を綴っていた。
アニメ内の原付二種の2人乗りが、免許取得1年以内で違反ではないかと指摘されてるけど、そういう人はルパン三世観て「窃盗は犯罪行為だから放送するな!」ってクレーム入れ続けてんのかな。
— 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) May 26, 2021
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炎上騒動の“本質”はどこにあるのかしかし現実とフィクションは違う、という反論は今回の場合的外れではないだろうか。というのも原作小説では小熊が違反行為だと理解した上で、友情を優先する描写があるのだが、アニメではとくに説明もなく二人乗りを決断。単純に制作側が法律を理解していないように見えてしまうため、視聴者から突っ込まれるのは当然だ。
その他《平気で人を殺すアニメもあるのに、なぜ「スーパーカブ」だけ叩くのか》との反論もあるが、視聴者が違和感をおぼえる行動は、作風や世界観によって異なってくる。たとえば『頭文字D』も同じ現代日本を舞台としており、違反行為のオンパレードだが、違和感がないため叩かれていない。一方で『スーパーカブ』は〝普通の女の子の物語〟を描いてきたため、違反行為に敏感に反応する人が多かったのだろう。
フィクションはリアル(現実)ではないが、リアリティーは必要。原作はその点を意識して描かれていたが、アニメ版には少々配慮が不足していたかもしれない。
とはいえ、今回の二人乗りは青春の一場面を切り取ったエモーショナルなシーンだった。もしアニメ内で違反行為について言及されていたら、雰囲気がぶち壊しだった可能性もある。視聴者が違和感を抱くリスクを負ってでも、あえて空気感を優先するという方針も間違っているわけではない。アニメと〝正しさ〟の問題は、今後も難題として残り続けそうだ…。
文=大上賢一
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