尾崎豊「没後30年目の新証言」(6)ユカイが見た「幽鬼」の表情 (2/2ページ)
減量の果てに、人生を達観しているような感じ」
力石はもともとウエルター級(66キロ)の大柄な体格でありながら、ジョーと対戦するためにバンタム級(53キロ)まで、苛烈な減量を自らに課す。そしてジョーとの試合後、命を落とす。マンガのキャラでありながら、告別式まで開かれた。尾崎の葬儀会場だった護国寺にほど近い、講談社の会議室でのことである。
異変の理由について、ユカイは続けた。
「俺は当時、事務所とうまくいっていなくて、そんなことを尾崎につぶやいたんだよな。そしたら『ユカイさん、人生はいろんなことがあるから』と言うんだ。あれっ、こんなことを言う男だっけと思った。俺たちが知っている、熱くて、素直で、明るくてハチャメチャな男だった尾崎はそこにはいなかったよ」
今から思えば、尾崎の顔には「死相」が浮かんでいたようにも見えたと、ユカイは言う。
さて、筆者は11年4月、実父の尾崎健一を訪ねている。健一は18年11月28日に91年の人生を終えたが、この当時に生きていたら45歳の尾崎はどうなっていただろうか、と質問した。
「裕哉という子供もいるし、ボロボロな姿ということはさすがになかったんじゃないでしょうか。おそらく、少しは分別のある大人になっていたかなと思う。ただ、それが『尾崎豊』としての面白味を少なくしていたかもしれませんが」
コロナ禍という混迷の時代にも、尾崎の歌は愛され続けている。
(石田伸也)
*「週刊アサヒ芸能」6月17日号より
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