時速402キロ、世界最速を目指して設計された電動バイク

credit:White Motorcycle Concepts
時速402キロ。これが英国のWhiteMotorcycleConcepts(WMC)社が世界最速を目指して設計された電動バイク「WMC250EV」がターゲットとして掲げる速度だ。
開発者はロブ・ホワイト氏。F1やル・マン、世界耐久選手権など、長年にわたりレースの世界に携わってきた人物だ。
世界最速電動バイクを目指すWMC250EVだが、その言葉から想像されるような圧倒的なパワーで爆発的に加速するというタイプではない。
ホワイト氏が「世界でもっとも空力性に優れたバイク」と述べているように、むしろ日本刀のような鋭さを磨きあげたマシンである。
Part 1 - The World’s Fastest Electric Motorcycle Revealed - MC250EV
・ボディをつらぬくトンネル
超ハイスピード走行で物を言うのは馬力ではなく空力だ。人間という大きな荷物を背中に乗せて走らねばならないバイクは、お世辞にも空力が優れているとは言いがたく、高速道路の2倍、3倍といった速度域に達すると恐ろしいまでの力で空気が襲いかかってくる。
WMC250EVはそれを克服するために、ボディ中央を1本のトンネルがつらぬく構造を採用している。超高性能なハイパーカーならそうした構造のものもあるが、2輪のバイクでこれほど派手な大口を開けているものは他にない。
これを実現するために、電動ドライブトレインからバッテリーまで、あらゆるメカニクスはトンネルの下に詰め込まれている。
さらに超レーシーな姿勢でこのマシンにまたがることになるライダー――すなわち他ならぬホワイト氏自身の体型に合わせて、ミリ単位での調整まで施されている。レザーのスーツやヘルメットの形状まで考慮に入れるほどの徹底ぶりだ。

credit:White Motorcycle Concepts
・圧倒的な空力性能
英ヒンクリーの風洞施設で計測された抗力係数は0.118。世界トップクラスのバイクに比べて69%も低い。
現時点で世界最速の量産車シェルビー・スーパーカーズ・トゥアタラ(最高時速455.3キロ)が0.279であると言えば、その凄さが伝わるだろうか。
かくして鋭さを徹底的に突き詰めたからこそ、搭載されるバッテリーはかなり控えめに思える15kw/時で、ピークパワーも134馬力でしかない。
昨年11月に元MotoGP選手、マックス・ビアッジによって最速電動バイクの座に輝いたヴォクサン・ワットマンが362馬力であることを思えば拍子抜けするくらいだ。

credit:White Motorcycle Concepts
・回生エネルギーのプラスアルファ
30kWのモーターはダブルスイングアーム・サスペンションに内蔵されており、これで後輪を駆動する。
また高速で走る車体をコントロールするハブセンター・ステアリングとフロントタイヤをつなぐのは、従来の機械式リンケージではなく、油圧システムだ。
この部分はステアリングとブレーキを1つのシステムとして統合しなければならないため、ただでさえ複雑になりがちだが、WMC250EVではその複雑さの次元を1段階上げている。前輪と後輪に20kWの回生ブレーキが搭載されているのだ。
優れた空力と回生ブレーキによって発生するプラスアルファの電力が組み合わさることで、同じサイズのバッテリーを搭載した従来のバイクに比べて、2倍もの速さで走ることができるのだという。

credit:White Motorcycle Concepts
・決戦は来年ボリビアで
こうして実現されたWMC250EVの性能はまず、イギリス国内記録を目標にして年内に試される。だが、その真価が問われる本番は22年だ。そのときボリビアの塩原で時速402キロを目指して疾走する。
なおWMC250EVの開発で培われた空力技術は、市販バイクにも応用される予定であるとのこと。
そのために、「V-Air」という名称でトンネルデザインの特許を取得済みであるそうだ。風の力を味方にしたそのバイクで味わえる気持ちよさは格別なものに違いない。
Part 2 - The Technology and Innovation of the World’s Fastest Electric Motorcycle - WMC250EV
Part 3 - The Future of the World’s Fastest Electric Motorcycle - WMC250EV
References:"World's fastest electric motorcycle" uses radical big hole technology / written by hiroching / edited by parumo