洞窟探検に魅入られた男の「危機一髪」エピソード (2/2ページ)

新刊JP

45度の斜面をうしろ向きに這い上がらないといけないのだが、もがいても変化はない。

「ヤバい! この状況はマジでヤバい!!」

恐怖が襲いかかってくる。しかし、ここで過呼吸になったら、酸欠になりかねない。さらに、頭部を下にして長時間動かないでいると、低体温症や頭部の血圧上昇で死に至る可能性もある。

まずは自分を落ち着かせる吉田氏。そして、動かせる両手だけでこの窮地を脱そうと、指を泥に突き刺して、少しずつ体を動かしていく。窮地に追いやられてから30分ほど、なんとか脱出できたが「ものすごい長い時間に感じられた」と述懐している。

 ◇

生きるか死ぬかのスリル。その先にある誰も見たことのない世界。これほどまでに美しいものがあるのか、そう思わせてくれる絶景。

『洞窟ばか』(扶桑社刊)には洞窟探検のスリリングな魅力が小気味よい文章でつづられている。今回は「危機一髪」のエピソードを取り上げているため、もしかしたら怖さを感じたかもしれない。しかし本書を読むと、そうしたエピソードも含めて、洞窟にすっかり魅了されてしまうだろう。

「洞窟探検ほど面白いものはない」という吉田氏の言葉は、真であると思わされる。そんな一冊だ。

(金井元貴/新刊JP編集部)

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