芸能界引退!「秋元康も魅了された逸材」乃木坂46大園桃子の軌跡を振り返る (2/2ページ)
大園が受けた3期生オーディションは(当時)過去最多となる4万8986人もの応募があり、中にはもちろんのことアイドルへの熱意がある候補者が数多くいたはずである。
大園は乃木坂46のことはほとんど知らずに受けたことを明かしており、アイドルになりたいという熱量がとりわけ大きかったわけではない。むしろ、彼女の発言の数々を見てもアイドルに対する羨望の念はほとんどなかったとすら言える。
しかし、蓋を開けて見れば合格時の暫定センターに立っていたのは大園だった。歌もダンスも候補者と比べて長けていたわけではない。それでも審査員の目には大園が持つ未知の魅力に惹かれていった。この時の興味深い記録として秋元康が「1分後の昔話」という連載にて、「オーラ? スター性? 運? 僕は、その何かを持った彼女を乃木坂3期生のセンターに迎えた」と大園の対する率直な評価を残している。
秋元康がプロデュースをしている48グループしかり坂道グループしかり、グループの中心を担うセンターというポジションに共通して見出すことができるのは、ビジュアルが優れているだとか歌唱力が高いだとかダンスの能力が抜けているとか、ある基準をもって選ばれているわけではないということ。これはまず秋元康のアイドルグループの特徴として押さえておかなければならないだろう。
ひとつの例として前田敦子と生駒里奈の存在を見出すことができるが、彼女たちもまた最初からアイドルとして何かに秀でていたということはなく、名状しがたい魅力、それこそ秋元康が話しているオーラのようなものが備わっていたのである。
その魅力はまた、アイドルという理不尽でもある職業へと放り投げられた無垢な少女が、アイドルへと飲み込まれていくという成長譚とも言える物語性とは無縁ではいられない。そして、3期生の暫定センターとして注目を集めた大園もまた、その枠組みのなかで見いだされたアイドルだったのだと、秋元氏の発言からも読み取れる。
(文=川崎龍也)