西野七瀬「不安を持ってないと不安」『情熱大陸』で吐露した心情

テレビの中の女たちvol.62西野七瀬
優柔不断は思慮深い。神経質は几帳面。飽きっぽさは好奇心旺盛。そんなふうに、短所は長所に言い換えることができる、みたいな話をよく聞く。ある種の気休めという面はあるだろうけれど、そういう気休めでもいいから不安をなだめて、次に進むのが必要なタイミングというのも確かにある。そういう意味で言うと、いつも不安感が拭えない人は、成長の機会を確かにつかんでいる人と言えたりするかもしれない。
西野七瀬、1994年生まれの27歳。大阪府出身の彼女は、2018年まで乃木坂46に中心メンバーの1人として在籍していた。その後、『グータンヌーボ2』(フジテレビ系)などバラエティ番組のMCも務めつつ、ドラマや映画などにも出演。現在は『ハコヅメ~たたかう!交番女子』(日本テレビ系)に出演中で、10月からは主演作『言霊荘』(テレビ朝日系)が放送予定だ。この夏には『孤狼の血 LEVEL2』『鳩の撃退法』と出演する映画が立て続けに公開されている。
そんな彼女が5日の『情熱大陸』(TBS系)に出演。映画の撮影現場などにカメラが密着するなかで、芸能活動に常に不安を抱えてしまう自身の胸の内を吐露していた。西野は言う。
「自分の意見を言うことがとにかく怖くて。波風立てたくない。昔から自分の言葉選びとかが、あんまり上手じゃないっていうのがわかっているので。気をつけるようにしながら生きてる感じです」
必ずみんなの前でスピーチのようなことをする場面があるから、打ち上げに参加するのが苦手。「自分で事前に(言うことを)紙に書いて、見ながら読んじゃいます」と語っていたこともある(『グータンヌーボ2』フジテレビ系、2020年9月29日)。そんな彼女は今回の『情熱大陸』の密着中も、とにかく言葉の選び方に慎重になっているという印象を受けた。
乃木坂から卒業した直後は、特に不安が強い時期だったようだ。スケジュールから仕事が一気になくなり、自分の時間が増えた。そのことに戸惑い、「こんなに体力あるのに、アレ? 全然お仕事ないぞみたいになって。ヤバイヤバイ、もっと私働けます、みたいな感じ」だったと振り返る。「もう辞めたほうがいいかも」とまで考えたらしい。
西野が初めて挑んだ舞台『月影花之丞大逆転』の稽古シーンにも、カメラは密着していた。古田新太や木野花など名優に囲まれるなかでの稽古は、プレッシャーも強かったのではないか。彼女は「これで、何かひとつでも成長しててくれって。いつもそうやって。望みです」と、何かに挑戦する際にいつも抱いているという「望み」を口にした。
番組の終盤、西野は次のようにカメラの前で語った。
「たぶん、一生こんな感じなんだと思います。『ずっと不安がってるんだろうな自分』みたいなのは、思いますね。不安を持ってないと不安。って、ちょっとよくわかんないですけど」
常に不安をいだき続ける西野七瀬は、成長の機会を確かにつかんでいるのだろう。その積み重ねた経験の先に、私たちはどんな彼女を見ることになるのか――。いずれにせよ、常に不安で言葉選びに慎重な彼女は「不安を持っていないと不安」と語った直後、そんな自分の言葉も不安に思ったのか、「って、ちょっとよくわかんないですけど」と急いで付け加えた。
(文・飲用てれび)