北朝鮮人民が恐れる「トンデモ新法」の理不尽実態(1)「韓流禁止法」で言論統制 (2/2ページ)
しかも、コロナ禍のステイホームの影響で、水面下では韓流ブームが起きている。西側の情報を耳にして、現在の貧しい現実に違和感を覚える若者も増えました。確実に正恩氏の権力基盤は揺るぎ始めていますよ」(外信部記者)
そんなピンチを打開するべく、20年12月に制定されたのが「反動思想文化撃退法」だ。北朝鮮ジャーナリストの五味洋治氏が解説する。
「ドラマや音楽をはじめとする韓国の文化コンテンツを禁止する法律です。視聴や保管をすることで5年〜15年の懲役刑(強制労働含む。以下同)、密輸して国内に流布してしまった者には無期懲役刑や死刑などの最高刑が科せられます。狙いはチャンマダン世代と呼ばれる若者たちでしょう。町の市場でUSBやマイクロSDカードに保存された動画コンテンツを購入したり、好んで韓国製のシャンプーや衣服を消費するメインの層ですからね」
いわば〝韓流禁止法〟とも言い換えられる新法。若者の間に一大ブームを起こしている韓国式の言葉遣いを禁止する条項も盛り込まれた。
「夫を『オッパ』(お兄ちゃん)、交際男性を『ナムジャチング』(彼氏)と呼ぶなど、韓国風の言い回しや略語が、若者の間でオシャレな言葉として認識されています。ただし、使用がバレたら、半年〜1年の懲役刑に処される。服装や髪型などの外見のみならず、言葉遣いのような内面の韓国文化が流入したことに危機感を抱いているのかもしれません」(五味氏)
だが、どんなに規制を強化したところで、若者たちの韓流ブームが収まる気配はない。ならばと、さらなる厳罰化に向けた新法が制定されようとしているのだ。在韓ジャーナリストが語る。
「9月28日に予定している最高人民会議で『青年教育保証法』が制定される見込みです。詳しい内容までは不明ですが、〝若者の思想教育にまつわる法律〟だと専門家の間で囁かれています。主に、ドラマや艶系ビデオなどの海外コンテンツの取り締まりがさらに強化される見込みです」
弾圧vs反発。不毛なイタチごっこに終着点はあるのだろうか。
*「週刊アサヒ芸能」9月30日号より。(2)につづく
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