「人生に飽きて」来日 北欧人女性が会いたかった日本人とは (2/2ページ)
セイ、あなたの世界では髪は女性にとっていちばん大切な財産だった。髪は長くてまっすぐでなければならず、そのまま地面までいつも垂らしていなければならなかったし、その人の魅力を語りたいときにはいつも髪のことが話に上った(あなたの髪については、とびきりすばらしいコンディションではなく、付け毛を使っていたことが知られている)。(P197より)
美容院で髪を切ってもらうときは清少納言ら宮中の女たちの長い髪の美しさと不便さに思いを馳せ、京都の古びた宿の部屋に横たわっては、清少納言のいた華やかなイメージのある宮廷生活が、現代の感覚ではかなり質素で不便だったのではないかと推測する。日本の図書館では清少納言についての資料の乏しさに絶望し、対照的に多くの資料が残っている紫式部との違いを嘆く。
本国で得た知識をもとに徒手空拳で清少納言の実像に迫ろうとする苦闘や日本での生活で感じた新鮮さが、ところどころで引用される清少納言の文章と時に平行し、時に交差する。
思うように旅行ができない今、「ある場所に行き、そこで人と交流し、その土地で生きた人を知る」という旅の醍醐味を思い出させてくれる一冊であるとともに、それまでの人生を一度ストップさせ自分がやりたいことを思い切ってやってみることで、人生に新しい展開が拓けることがあると教えてくれる本でもある。とにもかくにも著者の旅は、このデビュー作として結実したのだから。
(新刊JP編集部)