日本の殺人の半数は家庭で起きる…「家族間殺人」の知られざる実態 (2/2ページ)
眠っているところを蹴られたり、「若いのに寝るな」と布団を取り上げられることもあった。疲労がたまったところに睡眠時間を削られ、正常な判断力が失われていたなかで、殺害は決断された。裁判では生後五か月の息子から殺害し、浴槽に放置し、土中に埋めたことを「無慈悲で悪質」と判断されたが、本書では、家庭内に居場所がなく、子どもと主体的に関われず、絶え間なく苛めを暴力を受け続けていた男性には、「我が子への愛情を感じる期間などなかったのではないか」とも指摘されている。
男性を苦しめたのは義母のモラルハラスメントやDVだったが、「男性は女性より稼ぐべき」「夫は家族を養うべき」という「あるべき家族像」に苦しめられていたとも考えられる。前述の通り、男性の経済状態は決して余裕のあるものではなかったが、そんな状態でもローンで高級車を購入し、家族内での評価の挽回をはかっていたのは何とも象徴的である。
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他人には普段見せない弱点を知りうるのも家族であり、敵に回すといちばん怖いのが家族であると感じます。(P204より)
本書では、様々な家族間殺人の事例から近親憎悪が生まれる背景に迫る。妻からのDVを誰にも相談できず、鬱屈した感情が爆発する形で犯行に至った夫。娘の彼氏に乗っ取られた末に殺人が起こった家庭など、過去に実際に起きた事例の数々からは、家族間殺人が決して特別なものではないことがわかるはずだ。
(新刊JP編集部)