千葉真一の素顔…関根勤が語る「『キイハンター』で丹波哲郎さんに悔しがっていた」
その人柄とマニアックなモノマネで、幅広い年齢層に愛されるタレント、関根勤さん。今号では関根さんの“永遠のヒーロー”千葉真一さんについて話を聞いた。追っかけ歴60年という関根さんの“千葉さん愛”と、本人との知られざる感動&爆笑エピソードを一挙だし!
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千葉真一さんが僕の人生に与えた影響の大きさは計り知れません。今でも「チバシンイチ」という単語を耳にしただけで、ドキドキ、ワクワクします。漢字のバランスがまた、カッコいいんですよ。
「千葉真一」
たとえば、この四文字を「千枚の葉の中に真実が一つある」と読み取ることもできるわけで、千葉さんらしいサムライの精神さえ感じられます。
僕の千葉さんの追っかけ歴は、かれこれ60年になりますが、出発点は、1960年の『アラーの使者』(NET・現テレビ朝日系)。
白装束に身を包んだ千葉さんの動きが、とにかくキマっていました。画面の中を全身バネといった感じで俊敏に動き回り、華麗な飛び込み前転まで見せてくれるわけです。
千葉さんは目力があるうえ、眉毛がまた濃いでしょ。それがまた、当時7歳だった少年には、たまらなく精悍に映りました。こんなに絵になる俳優さんは、それまで見たことがなかった。僕にとっての永遠のヒーローの誕生でした。
その後、再び千葉さんに魅了されたのが『キイハンター』(TBS系)。これもカッコよかったですね。危険なシーンをスタントなしで、すべて自分でやっていたことは後に知りました。
当時、僕が感心したのは、千葉さんの走り方。悪者が車で突っ込んでくるところを、機敏にジグザグに走りながらかわすんですが、僕は、これを勝手に「Z走法」と名づけました。
中学の頃、細い路地を歩いていて後ろから車が近づいてくると、「Z走法」をして、電柱に隠れていました。千葉さんのモノマネの原点とも言えるでしょうね。
■『キイハンター』丹波哲郎との逸話
『キイハンター』は、共演者も個性的な方ばかり。中でもボス役の丹波哲郎さんの存在は大きかった。
千葉さんから聞いた話ですが、撮影前には完璧にセリフを頭に入れてくる千葉さんに対し、丹波さんはセリフをほとんど覚えてこないんだそうです。
現場に行ってから、台本をパラパラめくるわけです。だから、本番では、そのセリフを思い出すように、ゆっくりしゃべる。あるいは途中で言葉に詰まってしまうこともある。でも、それが絶妙な「間」になっているんですね。できあがった映像を見ると、貫禄たっぷりの演技になっている。
千葉さんが、悔しそうに言っていました。
「ろくにセリフを覚えてこない人に、誰も勝てないんだから。とんでもない俳優ですよ、丹波さんは」
丹波さんは、俳優である以前に、人間としてのスケールが大きいというか、懐の深い方でしたよね。あの人が出ているだけで映画やドラマがグッと引き締まって見えました。そんな名優と多くの作品で共演したことは、千葉さんにとっても財産だったんだと思います。
『キイハンター』が終わると、千葉さんは映画を中心に活躍されました。
最初に驚かされたのが、深作欣二監督の『仁義なき戦い 広島死闘篇』(73年)で演じた大友勝利。それまでのイメージとは打って変わり、狂暴な悪役です。野蛮な言葉使いもすごかったけど、僕にとって印象的だったのはその動きでした。
千葉さんは並外れた運動神経と筋力の持ち主だから、ただ歩くだけ、ただ部屋をうろつくだけでも他の俳優さんとは、まるで違う。マイク・タイソンがリング上をウロウロしているような怖さがあるんですね。これこそ、真のアクション俳優だと思いました。
そして、あれだけ動けるから、逆にグッと抑えた芝居をしても抜群にうまい。空手映画で激しい「動」の演技をする一方で、山田太一さんが脚本を書かれたホームドラマなどでは「静」の演技も見せる。この幅が「俳優・千葉真一」の魅力なんじゃないでしょうか。
現在発売中の『週刊大衆』12月27日・1月3日号では、千葉新一の息子である新田真剣佑との逸話も掲載している。