犬アレルギーに朗報。原因物質の構造が解明され、予防ワクチンの開発に前進
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犬が大好きなのにアレルギーの為触れない。そんな人にうれしいニュースだ。大阪府立大学の研究グループが、「犬アレルギー」を引き起こす主要な「アレルギー物質(アレルゲン)」の立体構造を解析することに成功したそうだ。
このところ増加傾向にあるという犬アレルギーは、どんなに犬が好きでも、近寄るだけで花粉症のような症状が出てしまう厄介なもの。
だが今回アレルゲンの「タンパク質折りたたみ」などが解明されたおかげで、犬アレルギーの症状を予防するワクチンの開発が期待できるようになった。
・犬アレルギーの症状と原因
犬アレルギーは犬の皮脂やフケや唾液、抜け毛などに含まれる「アレルゲン」が、体の中で免疫反応を引き起こしてしまうことだ。
犬との接触や、同じ室内で犬と遊んだり一緒に過ごしたりすることで現れる。これは猫アレルギーも同様だ。その症状や度合いは人によって異なる。
軽度の場合、咳や鼻水、くしゃみなど、かぜや花粉症などに似た症状がでる。さらに進行すると、目が充血してかゆくなり、皮膚の湿疹やじんましんなど引き起こす。重度になると、呼吸困難や下痢、めまいなどの症状を発症する。
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photo by iStock
・主要イヌアレルゲン「Can f 1」の立体構造の解析に成功
犬アレルギーのアレルゲンとしては7種類が知られているが、中でも「Canis familiaris allergen 1(Can f 1)」は、犬アレルギーの50~70%を引き起こすとされる主要なアレルゲンだ。
人体の免疫系がアレルゲンに反応するのは、抗体などがアレルゲンに結びついてそれを認識するからだ。この結合する部位を「エピトープ(抗原決定基)」という。
エピトープを特定し、その特性を明らかにできれば、抗体とアレルゲンの結合を防ぎ、アレルギー症状を抑えるワクチンを開発することができる。
そこでアレルギーの専門家である乾隆教授らは、Can f 1のエピトープを発見するべく、X線結晶構造解析でその立体構造を解析した。
その結果、Can f 1の「タンパク質折りたたみ」(タンパク質の性質を決める立体構造。フォールディングとも)は、他の3種のアレルゲンとよく似ている一方、表面の電荷がまったく異なっていることが明らかになった。
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image credit:大阪府立大学
・犬アレルギーワクチンの開発に期待
この結果に基づいてCan f 1のエピトープを予測し、そのタンパク質を変化させると、人体の抗体と結合しにくくなることが確認されたという。
実際に犬アレルギー予防ワクチン(低アレルゲン化ワクチン)を開発するには、まだまだ研究が必要だが、ワクチン開発へ向けた大きな前進ではある。
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image credit:大阪府立大学
・他のアレルギーにも応用できる可能性を秘めた予防ワクチン
もし低アレルゲン化ワクチンが開発されれば、アレルギー予防ワクチン開発における珍しい成功事例となる。
また、ワクチンとして有用であることが示されれば、この手法を応用することにより、猫アレルギーはもちろん、他の様々なアレルギーの治療にも適応可能になるという。
犬や猫は大好きだけどアレルギーがいるので飼えないという人も多い。もしこのワクチンでアレルギーが予防できるなら、救われる動物たちも増えることだろう。
この研究は『The FEBS Journal』(21年10月26日付)に掲載された。
References:大阪府立大学プレリリース / Structure‐based prediction of the IgE epitopes of the major dog allergen Can f 1 / written by hiroching / edited by parumo
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