仲本工事「ドリフのメンバーそれぞれが、ドリフという“社会”を崩さなかった」今だからこそ語る【人間力】インタビュー

日刊大衆

仲本工事(撮影・弦巻勝)
仲本工事(撮影・弦巻勝)

 ザ・ドリフターズ全盛期の頃は、とにかく忙しかったですね。日、月、火と地方の営業があって、土曜日の『8時だョ!全員集合』(TBS系)は生放送。合間に『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)や『ドリフと女優の爆笑劇場』(テレビ朝日系)なんかを撮って、さらに映画と劇場公演が年に2本ずつ。しかも、それぞれキッチリ稽古していましたからね。怒濤のように駆け抜けた感じですよ。

 そもそも、僕は音楽がやりたかったんです。なのに、いつの間にかそれが音楽コントになり、そのうちコントだけになっちゃった。しかも、稽古のたびに、いかりやさんから怒られながらね(笑)。

 ドリフというのは、いかりや長介というワンマン社長がいる会社みたいなもの。社長の言うことが絶対で、誰も反対できない。でもね、メンバーにはとても厳しかったけど、リーダーとしては素晴らしかった。いかりやさんがワンマンだったからこそ、ドリフはみんなから愛されるグループになれたんだと思うんですよ。

 そして、メンバーのバランスが良かった。加トちゃん(加藤茶)は天才型で、ひらめきとパンチ力がある。志村(けん)は努力型で、外国の映像を取り寄せたり、いろんな音楽を聴いたりして、常に貪欲でしたね。高木(ブー)さんは……何と言ったらいいのか、不思議な人。ただ、存在感がすごい。いいんじゃないのかな、5人のうち1人くらい存在感だけで勝負する人がいても(笑)。

 それぞれが、それぞれのポジションと順列をしっかり分かっていて、ドリフという“社会”を崩さなかった。だから、消防署だろうが兵隊だろうが家族だろうが、どんなコントをやっても同じように笑ってもらえたし、16年も続けられたんです。

■いかりやさんが迷ったのは、志村がメンバーに入ったとき

 唯一、いかりやさんが迷ったのは、志村がメンバーに入ったときじゃないですかね。すでにできあがっていたドリフという社会の中に、志村のポジションをどう組み込むか――。バランスが狂ってしまったら、面白いものは作れなくなるから、決めかねていたようです。

 でも、志村は自分でポジションを切り開いていきました。そこが彼のすごいところだよね。

 ただ、メンバーはあくまで仕事仲間で、プライベートはまったく別。今、ドリフは3人になってしまったけど、やっぱりふだんは連絡を取りませんね。会うのは仕事のときだけで、この間は、『ももいろクローバーZ』と武道館でライブをやったときに、久しぶりに会いました。3人で懐かしい雷様をやったりして、楽しかったね。

 うちの奥さん(歌手の三代純歌)が言うには、僕はステージに上がると変わるんですって。「ふだんは何でもいいって感じだけど、舞台に立つとスイッチが入って若返っている」そうです。

 僕は今年の夏に80歳になりましたが、健康のためにやってることは特にありません。ただ、ちょっと調子が悪いなと思ったら、すぐに医者に行くようにはしていますね。そのたびに「心配しなくて大丈夫だよ、そんなに元気なら」って言われちゃうけど(笑)。

 今は、とにかく楽しく暮らしたい。だって、1日でも楽しくない日があったらもったいないでしょ?

 楽しく暮らすための必要なものの一つが、この店(自身が経営する居酒屋『仲本家JUNKAの台所』)かな。若い人と接する機会があるし、彼らがどんな趣味趣向を持っているかが分かって、面白いですよ。

 やっぱり、直に会って話さないと分からないことはたくさんある。会って目を見て話すから、その人の本当の思いが分かると思うんですよ。

 あとは、常に発信していきたいですね。2020年の9月から、ツイッターとユーチューブをやってます。こんな形で人とつながる時代がやってくるなんて、面白いよね。

仲本工事(なかもと・こうじ)
1941年東京都出身。1965年にザ・ドリフターズ加入。『8時だョ!全員集合』(TBS系)、『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)をはじめ、数多くの人気番組を手掛け、国民的グループとなる。俳優としても活躍し、ドラマ『警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜』(テレビ東京系)、『テセウスの船』(TBS系)などに出演。2020年9月よりツイッターとユーチューブチャンネル『仲本工事の ありがと〜ね〜チャンネル』をスタート。

「仲本工事「ドリフのメンバーそれぞれが、ドリフという“社会”を崩さなかった」今だからこそ語る【人間力】インタビュー」のページです。デイリーニュースオンラインは、いかりや長介仲本工事8時だョ!全員集合ドリフ大爆笑ドリフターズエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧