哲学が必修科目のフランスで高校生が学んでいる哲学者とは (2/2ページ)

新刊JP

こんなつらい真理と、人間はまっすぐ向き合えない。だからこそ芸術があり、直視するのがつらい真理を美しい形で見せてくれる古典演劇がある、というのがニーチェの考えである。

第二のニーチェは「破壊者」としての顔だが、このニーチェは第一のニーチェを真っ向から否定する。宗教、科学、言語、など、あらゆる偶像を批判し、破壊したからだ。

つまり、第一のニーチェでその役割を認めていた芸術や哲学そのものも第二のニーチェでは否定されるのだ。普遍的原初的真理を見出した第一のニーチェが、第二のニーチェでは、真理を信じる人間は現実の多様性に向き合うことを恐れ、偽りの真理を崇めることで逃避しようとする弱虫だと批判されてしまう。

第三のニーチェは、預言者であり詩人であり、説教者としての顔だ。このニーチェは「永劫回帰」「力への意志」「超人間」という新しい概念を詩的で警句的な言葉で投げかけ、すべての偶像から解放された新しい時代を期待した。

難解なニーチェも3つの顔で分けて考えると、矛盾していると思えるところや不可解なところこそあれ、整理してその思想に迫ることができる。本書ではニーチェの他にもプラトン、アリストテレス、デカルト、スピノザ、カント、ヘーゲル、キルケゴール、フロイト、サルトルと、10人の哲学者の思想を、哲学に触れたことがない人にもわかりやすく教えてくれる。時代を経て哲学がどう変化してきたのかという、現代に向かって行きつ戻りつしながら進んできた思想の変遷が理解できるのもおもしろい。

難しい。
分厚い。
何に役立つのかわからない。

本書を読んだらきっとそうは思わないはずだ。

(新刊JP編集部)

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