逝去・上島竜兵さんインタビュー再掲「お笑いやってるときが、自分では一番輝いてると思います」

日刊大衆

上島竜兵(ダチョウ俱楽部) 撮影/弦巻勝
上島竜兵(ダチョウ俱楽部) 撮影/弦巻勝

 ダチョウ倶楽部上島竜兵さんが、2022年5月11日に61歳で逝去した。

 本サイトでは2011年12月12日号『週刊大衆』のグラビア連載『人間力』に掲載された上島さんのインタビューを再掲。心から哀悼の意を表します。

 お酒、好きですねえ。昨日も志村けんさんと仕事一緒だったんで、そのまま飲んで。夕方18時ぐらいから、夜1時ぐらいまでかな。

 雰囲気が好きなんですよね。前、有吉(注1)に騙されまして、よく行く焼肉屋で有吉が、僕の焼酎のボトル全部飲んで、ミネラルウォーターを入れておいたんです。翌日、有吉と一緒にその店行って、「ボトル出して」って、水をロックで飲んで、チェイサーも飲んで……3杯目でやっと水だって気がついた(笑)。だから、好きな人、気が合う人たちと行くと、雰囲気で酔うんです。

 志村さんに呑みに連れてってもらったり、たけしさん(注2)にイタ飯屋に連れて行ってもらうと、かっこいいなあ~って、すぐ憧れちゃう。で、中野とかで小さい店を見つけて、若手を連れていくんです。そういうときは、たけしさんみたいな気分になって、自分を「オイラ」っていっちゃいますね(笑)。

 本当に恵まれてるなって自分で思います。志村さんにしても、メンバーにしても、後輩にしても、スタッフにしても、本当に人に恵まれていると思います。たけしさんもそう。ちょっと「これが精いっぱいかな、苦しくなるかな」ってときに、救世主が現れるんですよ。僕の場合は本当に、「他力本願」ですから。

 好きで始めた仕事で、贅沢な話ですよ。お笑いをやらせてもらって27~8年、その間アルバイトもせずこの世界でやっていけて、結婚もできて。もう、夢がそのまま叶った。そりゃ上見たらキリがないですよ。下見てもキリがないですしね。僕は、ありがたいなって思うんです。

【注1=有吉弘行。74年生。毒舌芸人として現在人気に。上島を慕う「竜兵会」のメンバー。他に土田晃之劇団ひとり、デンジャラス、インスタントジョンソンらがいる】

【注2=ビートたけし。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』で見せたダチョウ倶楽部の身体を張った壮絶な芸は、現在でも語り草】

■「笑われててもいいんです。とにかく笑ってくれればいいんですよ」

 認めてくれる人がどれだけいるかわからないけど、ここまでなんとかやってこられてるのは、お笑いのおかげですから。映画やドラマや本やCDも、お笑いをやってたから、リアクションをやってたから。

 バス沈められて、蜂の巣狩りやって、ヌルヌルやったから、っていうのがあるんです。その上島竜兵があるから、みんな笑顔でやってくれると思うんですよ。やっぱり自分で頑張ってるところを見せなきゃ、助けてくれないわけですからね。人間だから、ちょっと割のいいかっこいい仕事とか、魔が差すときもあるじゃないですか。でも、お笑いをやってたからここまできたんです。それを忘れたときは、本当にダメなときでしょうね。

「俺は笑われてるんじゃない、笑わせてるんだ」って人もいるし、それはそれでいいんです。

 でも、僕には同じなんです。笑われててもいいんです。とにかく笑ってくれればいいんですよ。

 お客さんの前でもスタジオでも、ウケたときは気持ちいい。志村師匠の舞台で、お客さんがドーンと笑ったりすると、これはセックスより気持ちいい。最近軽いEDだし(笑)。

 若い人と一緒にやるときや、人気番組に出るとき、たまに不安になったりするけど、それはやっぱりやんなきゃね。勝っても負けても、誰かに面白くないっていわれても、やり続けないといけないし、お笑いやってるときが、自分では一番輝いてると思います。

 ウケても、スベってもね。

上島竜兵(うえしま・りゅうへい)

 1961年1月20日、兵庫県生まれ。太田プロ所属。中1で洋画を初めて見て憧れを抱き、かつスター俳優のギャラを知って衝撃を受ける。高校卒業後、家出同然で上京し、中学時代から似ているといわれていた西田敏行を慕い、青年座の養成所に。

 半年後に帰郷し、1年間神戸でアルバイト生活したのち、再度上京。再び青年座の養成所を受験するが、パントマイムの試験で思い切り声を出し、大爆笑は取ったものの不合格、テアトル・エコーの夜間部に入る。そのころ寺門ジモンと知り合い、お笑いを志す。

 テアトル・エコーの先輩であったコント赤信号の渡辺正行にネタを見てもらったところ、「売れるまで10年かかる」といわれ、「一緒にやってみな」と肥後克広を紹介され、『ダチョウ倶楽部』の原型が形作られる。その後、テレビでの露出が増え、“リアクション芸”と呼ばれるスタイルを確立。現在、バラエティ、ドラマ、映画、ラジオと多方面にわたって活躍。

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