裏切られて憎さ百倍…都を追われる源義経が詠んだ源頼朝への恨み節【鎌倉殿の13人】
壇ノ浦に平家を滅ぼし、源氏の天下をもたらした源義経(演:菅田将暉)。その天才的な活躍はひとえに兄である源頼朝(演:大泉洋)に喜んで欲しかったためですが、あまりの強さに警戒されてしまいます。
すれ違いの末に再会を果たせず、京都へ帰った義経は叔父・源行家(演:杉本哲太)にそそのかされて後白河法皇(演:西田敏行)に頼朝追討の宣旨を求めました。
かくして兄と決別し、謀叛を起こした義経。しかし頼朝が本気の対決姿勢を見せたところ、あっけなく都落ち。頼朝の怒りを恐れた後白河法皇は元より、言い出しっぺの行家にまで見捨てられてしまいます。
奥州への道中、最愛の静御前(演:石橋静河)と別れる。月岡芳年筆
最初は九州へ逃げようとしたところ暴風雨で出航を断念、やむなくかつて保護してくれた奥州の藤原秀衡(演:田中泯)を頼るのでした。
義経の恨み節、その死を惜しむ人々の声さて、頼朝の追手から逃げのびる道中、義経は一首詠んだと言います。
思うより 友を失う 源の
家には主 あるべくもなし【意訳】疑いの思いにとらわれ、証拠もなく親族や盟友の粛清を続ける源=頼朝の家には、やがて主どころか誰もいなくなってしまうだろうよ!
生まれてすぐに父を喪い、母や兄たちとも生き別れて肉親の愛情に飢えていた義経が、誰よりも敬慕した兄・頼朝。
その想いを裏切られて憎さ百倍、義経の悔しさがにじみ出ています。
やがて文治5年(1189年)閏4月30日に義経は奥州の衣川で自害。死んだ秀衡の跡を継いだ藤原泰衡(演:山本浩司)が、頼朝の圧力に屈したためです。
いつの誰だか、義経の死を惜しむ人々によってこんな川柳が詠まれたとか。
西海の くろうも水の 泡となり
【意訳1】秀衡と再会して後ろ盾を得た九郎義経も、あっけなく(水泡の如く)死んでしまった。
【意訳2】せっかく西海(平家討伐)で手柄を立てたのに、その苦労も水泡に帰してしまった。
判官の 衣(ころも)年経(とし へ)ず 綻びる
【意訳】判官義経の衣は年を経ていないのに、すぐ綻びてしまった。
二番目の句は前九年の役において源義家(よしいえ。義経の高祖父)と奥州の安倍貞任(あべ さだとう)が衣川で戦った折、貞任を追撃する義家が
衣のたては 綻びにけり
【意訳】衣川の館は陥落したぞ(待て、見苦しく逃げるのか)
と詠んだ下の句に対して、貞任が
年を経し 糸の乱れの 苦しさに
【意訳】年月を経て糸が乱れたのだから、仕方ない(笑わないでくれ、私も年老いてしまったのだ)
と応じた故事に基づくもの。若くして亡くなった義経を惜しむ人々の思いが伝わってきますね。
義家と貞任の連歌:
老いを笑うな若者よ!平安時代、合戦に敗れた安倍貞任が源義家に詠んだ返歌が切なすぎる 終わりにしかし、因果応報とはよく言ったもの。果たして頼朝の死後、第3代将軍である源実朝(演:柿澤勇人)が暗殺されたことで、頼朝の血統は絶えてしまいます(厳密にはもう少し先ですが)。
思うより 友を失う 源は
身寄りいえども さね共倒れ【意訳】疑念だけで粛清を続けた源氏の家は、頼朝・頼家・実朝の三代の身寄りがいたけど、みんな共倒れになってしまった。
よく見ると「より友(頼朝)」「寄りいえ(源頼家)」「さね共(実朝)」とそれぞれの名前が入っています。
歴史にif(もしも)はありませんが、頼朝と義経が力を合わせていたら、その未来は大きく変わったいたかも知れませんね。
※参考文献:
『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
