竜雷太「ショーケンや松田優作、水谷豊くん…『太陽にほえろ!』では“なんだかこいつは面白い”という人に遭遇することが多かった」

日刊大衆

竜雷太(撮影・弦巻勝)
竜雷太(撮影・弦巻勝)

 今回「僕の人間力って何だろう?」と考えてみたのですが、僕自身にあるというよりは、人間力を持っている人たちと幸運にして出会えたことではないかと思い至りました。

 1962年に松竹へ入社して、山田洋次監督の映画に端役で出してもらったことがありました。そこで、アメリカ人演出家のエドダンダス氏と知り合い、彼のおかげでサンフランシスコに1年半留学させてもらえた。そして帰国したら、日本テレビの岡田(晋吉)プロデューサーに「新しくスタートするドラマの主人公の、留学帰りという設定にピッタリだ」と、『これが青春だ』(日本テレビ系)という学園ドラマの主役をいただけたんです。

 ここまででもう、3人も人間力を持った人と出会っていますからね。

 その次に挑戦したのが、僕の人生において大きな存在である『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)という作品です。映画界の大スター石原裕次郎さん、グループサウンズの大スター萩原健一さんとの共演でしたからね。

 裕次郎さんは、言うまでもなくすごい方。ショーケンは、それまで会ったこともないような男でした。何をやり出すか見当もつかない(笑)。

 彼のベースは音楽ですから、芝居の基礎みたいなものはほとんどないんです。台詞だって、何を言ってるか分からないときがあるから、僕らが復唱したりしてね(笑)。

 でも、とんでもなく輝くんですよ。『太陽にほえろ!』では、そんな経験をたびたびしました。こっちがポーンとボールを投げて、「こう戻ってくるだろうな」というのと、まったく違う軌道を描いてボールが返ってくる感じ、とでも言いましょうか。

「あれ? こいつは何だかちょっと面白いぞ」という人に遭遇することが多かったですね。ショーケンや松田優作はもちろん、1話のゲストで出た水谷豊くんにも感じましたね。

 台本に書かれていることが、彼らを通すことで、違う輝きを放つんです。そんな人たちに出会えたのは、すてきな経験でした。

■一度だけ、やめさせてもらったほうがいいんじゃないかと、プロデューサーに相談

『太陽にほえろ!』には10年間、ゴリさんとして出演させてもらいました。周りの人から、「ゴリさんだけじゃなくて、もっといろんな役をやったほうがいい」なんて言われたこともありましたが、この作品が嫌になったことは一度もありませんでした。

 ただ、実は一度だけ、やめさせてもらったほうがいいんじゃないかと、プロデューサーに相談したことがあるんです。6年目くらいのときでした、長年出演する中で、「僕はこのドラマの力になれているのだろうか? 足を引っ張ってはいないだろうか?」と心配になったんですね。

 ところが、うれしいことに「やめることはまかりならん。10年はやってくれ」と言っていただけた。それから殉職するまでの4年間は、他の仕事をせず、前向きに、専念して撮影に臨めました。こうして振り返ると、32歳から42歳まで、ゴリさんとして過ごしたのは、本当に楽しく、幸せな10年間でしたね。

 松竹入社から今年で60年です。人間力のある方々に助けられて、数多くの作品に出させていただき、俳優をやってきました。だから「竜雷太の人間力は何だ?」と問われたら、そういう人たちに出会えて、嫌われなかったことでしょうか(笑)。

 今は『ねこ物件』(TOKYO MX他)というドラマで、大好きな猫と共演しているんです。ただ、この猫たちがなかなかヤンチャで、監督の言うことを聞かない。でも僕が撫でるとおとなしくなって撮影が進むんですよ、調教師として僕はなかなか優秀だったのではないかと思っています(笑)。

 僕はまだ82歳。これからどんな人間力を持った人に出会えるか楽しみですね。心身ともに、やれと言われたことを、しっかりとやれるような自分でいたいと思っています。

竜雷太(りゅう・らいた)
1940年生まれ。大阪府出身。1962年に松竹へ入社。1966年にテレビドラマ『これが青春だ』(日本テレビ系)の主役に抜擢され、一躍スターに。1972年から1982年まで『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のゴリさんこと石塚刑事役を演じる。代表作として『金曜日の妻たちへ』『ケイゾク』『SPEC』(ともにTBS系)、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』『西郷どん』などがある。

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