「ほめて育てる」は正解か ほめられると帰りたくなる学生たち (2/2ページ)

新刊JP

ただ、みんなの目の前でほめられると、どうしても周囲の中で目立ってしまう。それは嫌だ…。

金間氏は実際に、ほめた学生から「どうか皆の前でほめないで下さい」と言われたことがあるという。そして、人前でほめられ続けるとどんな気持ちになるかと複数の学生に尋ねたところ「ひたすら帰りたくなる」という答えだった。彼らにとっては人前で叱られることは嫌だが、人前でほめられることも、仲間の中で目立ってしまうという理由で嫌なのだ。

その根底にある心理の一つは、先述の通り「目立つことへの恐怖」である。自分がほめられているのを聞いた他人の中で自分が強く印象づけられることに、今の学生は強い抵抗感を持つ。

そしてもう一つ「自己肯定感の低さ」も本書では指摘されている。能力面で「自分はダメだ」と思っている状態でほめられると、かえってプレッシャーになってしまうというのは、学生に限らず社会人であっても心当たりがある人が少なくないかもしれない。自信がないために、ほめられることを素直に受け入れられないのである。

こうした精神的傾向を知らずにほめてしまうと、ほめられた方はやる気になるどころか萎縮してしまう可能性もある。「叱る時は皆の前ではなく、個別に」とはよく言われるが、ほめる時も実は同様なのかもしれない。

自分の提案が採用されるのが怖い学生、キャンパスで浮いてしまうことを恐れる学生、競争を避け続ける学生。今の学生たちに見られる心理や言動を『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』は、教育の現場で得た知見から紐解いていく。

タイトルにある「いい子症候群」とは一体何を指すのか。教育やマネジメントに携わる人、子育て中の人は、役立つ知見が得られる一冊だ。

(新刊JP編集部)

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