ティラノサウルスは噛む力と引き換えに極小の目になった (1/3ページ)
[画像を見る]
恐竜と聞いて真っ先に思い浮かべるのが「ティラノサウルス」と言う人も多いだろう。獣脚類の中で史上最大級の体格を持ち、噛む力は驚くほど強かったと言われている。
だがその生態は未解明な部分も多く、相反する様々な説が次々と登場し、議論が絶えない恐竜でもある。
最近の研究によると、ティラノサウルスが圧倒的な噛む力を発揮できたのは、体に反して目がものすごく小さかったからだ、という説が浮上した。
『Communications Biology』(2022年8月11日付)に掲載された研究によれば、その力は、眼窩が狭く進化したおかげで、巨大な顎を発達させられたことが鍵だったかもしれないそうだ。
・大型肉食恐竜は進化によって目が小さくなった
ティラノサウルスの咬合力は3万5000ニュートンと言われている。硬い骨を砕くために、我々人間の100倍以上の力で噛むことができたと考えられている。
イギリス・バーミンガム大学のステファン・ローテンシュラガー氏らは、恐竜時代の化石410点(恐竜やワニの親戚を含む)の眼窩(がんか:眼球の収まる頭蓋骨のくぼみの部分)を比較してみた。
するとほとんど種(特に草食動物)は、眼窩が円形であることがわかった。
[画像を見る]
ところがティラノサウルスのような頭蓋骨が1メートルを超える大型肉食恐竜は、楕円形か鍵穴のような形であることが多かったのだ。
だが大型肉食動物であっても子供の場合、眼窩がより円形に近いので、成長するにつれて発達する特徴であるようだった。