「鎌倉殿の13人」畠山重忠・重保父子に迫る最期の刻。第35回放送「苦い盃」予習【前編】

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「鎌倉殿の13人」畠山重忠・重保父子に迫る最期の刻。第35回放送「苦い盃」予習【前編】

源実朝(演:柿澤勇人)の結婚と北条義時(演:小栗旬)の再々婚に期待が高まる今日この頃……ですが、鎌倉幕府の公式記録である『吾妻鏡』だと実朝の結婚についてはたった一行。

御臺所御下着云々。

※『吾妻鏡』元久元年(1204年)12月10日条

【意訳】御台所・千世(演:加藤小夏。坊門姫)が鎌倉へご到着あそばされたとのこと。

厳密に言えば鎌倉に到着しただけで、その後いつ結婚したのか、婚礼の様子などは一切記録されていません(だからこそ創作が捗る場面でもあります)。

片や義時とのえ(演:菊池凛子。伊賀の方)にいたっては結婚を感じさせる記述さえなく、いきなり嫡男の北条政村(まさむら。五男)が生まれたことが紹介されているばかり。

これでは予習のしようがない(大河ドラマによる創作がほとんどである)ため、今回は畠山重忠の乱をメインに紹介。

かねて武蔵国の利権をめぐり対立していた重忠と時政(イメージ)

北条時政(演:坂東彌十郎)とりく(演:宮沢りえ。牧の方)は飽くなき野望のため、武蔵国を掌握する妨げとなる畠山重忠(演:中川大志)に魔手を伸ばします。

果たして鎌倉武士の鑑と称された重忠の運命やいかに。今週もNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、第35回放送「苦い盃」を予習していきましょう。

稲毛重成、久々の登場だが……

鎌倉中不靜。近國之輩群參。被整兵具之由。有其聞。又稻毛三郎重成入道。日來者蟄居武藏國。近曾依遠州招請。引從類參上。人恠之旁有説等云々。

※『吾妻鏡』元久2年(1205年)4月11日条

時は元久2年(1205年)4月。鎌倉に近隣の御家人たちが武装して集まり、何だか不穏な空気が漂ったと言います。

そんな中、日ごろ地元の武蔵国に引きこもりがちであった稲毛重成(演:村上誠基)も鎌倉へやって来ました。舅の北条時政に呼ばれたのです。

時政に呼ばれた稲毛入道。大河ドラマでも、出家しているでしょうか(イメージ)

妻のあき(演:尾碕真花。稲毛女房)に先立たれた悲しみで出家。稲毛入道などと呼ばれていましたが、時政との絆は変わらず続いていました。

「よぅ、三郎(重成)。お前ぇに来てもらったのはほかでもねぇ……」

ここで時政と重成が何を話したかは分かりませんが、やがて鎌倉に静けさが戻り、御家人たちが地元へ引き上げた後も重成は鎌倉にとどまります。

世上物忩頗靜謐。群參御家人依仰大半及歸國云々。

※『吾妻鏡』元久2年(1205年)5月3日条

【意訳】世の騒ぎがすこぶる静けさを取り戻した。そこで集まってきていた御家人たちも、大半が国元へ帰っていったそうな。

もしかしたら、4月の騒ぎは軍勢を率いた重成たちをカモフラージュするために時政が噂を流したのかも知れません。

「おい三郎。畠山のとこから六郎を呼んでくれ」

「畏まりました」

六郎とは重忠の嫡男・畠山重保(演:杉田雷麟)のこと。重成にとっては従甥(従兄の子)に当たり、前年京都で平賀朝雅(演:山中崇)と諍いを起こしています。

……及夕。畠山六郎重保自武藏國參着。是稻毛三郎重成入道招寄之云々。

※『吾妻鏡』元久2年(1205年)6月20日条

稲毛重成に招かれた畠山重保(イメージ)

そして6月20日の夕方になって武蔵国から重保が鎌倉へ到着。久しぶりに従叔父と会って、楽しいひとときを過ごしたのでしょうか。

しかし重成は時政に重保の到着≒身柄確保を通報。いよいよ計画を実行に移そうとするのでした。

義時と時房、必死の反対も虚しく……

晴。牧御方請朝雅〔去年爲畠山六郎被惡口〕之讒訴。被欝陶之間。可誅重忠父子之由。内々有計議。先遠州被仰此事於相州并式部丞時房主等。兩客被申云。重忠治承四年以來。專忠直間。右大將軍依鑒其志給。可奉護後胤之旨。被遣慇懃御詞者也。就中雖候于金吾將軍御方。能員合戰之時。參御方抽其忠。是併重御父子礼之故也。〔重忠者遠州聟也〕而今以何憤可企叛逆哉。若被弃度々勳功。被加楚忽誅戮者。定可及後悔。糺犯否之眞僞之後。有其沙汰。不可停滯歟云々。遠州重不出詞兮。被起座。相州又退出給。備前守時親爲牧御方之使。追參相州御亭。申云。重忠謀叛事已發覺。仍爲君爲世。漏申事由於遠州之處。今貴殿被申之趣。偏相代重忠。欲被宥彼奸曲。是存繼母阿黨。爲被處吾於讒者歟云々。相州。此上者可在賢慮之由。被申之云々。

※『吾妻鏡』元久2年(1205年)6月21日条

……が。父の暴挙に対して義時と北条時房(演:瀬戸康史)は猛反対します。

「莫迦なことはおやめ下され!」時政の説得に駆けつける時房(イメージ)

「父上は何を仰せか。次郎(重忠)は治承4年(1180年)の挙兵以来、ひたすら忠義を尽くして参りました。亡き源頼朝(演:大泉洋)公も『必ずや子孫を守ってくれるだろう』と厚く信頼を寄せておいでだったではありませんか。先に比企能員(演:佐藤二朗)を討った時だって、源頼家(演:金子大地)様に遠慮して討伐にためらったのに『すべては鎌倉のため』と我らに味方してくれたのは、舅である父上との絆を重んじてのこと。あれほどの忠義者を謀叛人に仕立て上げるには、どれだけ言いがかりをつけなければならないのでしょうか。そんなことをすれば必ずや後悔することになりましょう」

「左様。悪いことは申しませぬゆえ、畠山殿の謀叛については、確たる証拠が見つかってから対処しても遅うはございませぬ」

「ぐぬぬ……」

ひとまず軍勢の動員を拒否した義時たちでしたが、やがて牧備前守時親(まき びぜんのかみときちか。牧の方の兄弟)から書状が届けられました。

書状に曰く「畠山殿の謀叛は既に明らか。此度の討伐は鎌倉殿のため、世のためゆえに『しい様』へお伝えしたと言うのに……あなたたちは畠山殿の偽りを見抜けず、この継母を悪者に仕立て上げようと言うのですね」と。

いや、そうは申しませんが……タジタジの義時は「ちょっと考えておきます(この上は賢慮あるべくの由)」などとお茶を濁して(結局、重忠討伐に加勢)しまうのでした。

【後編へ続く】

※参考文献:

清水亮『中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流』吉川弘文館、2018年10月 貫達人『人物叢書 畠山重忠』吉川弘文館、1987年3月 細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』朝日新書、2021年11月

トップ画像: 「鎌倉殿の13人」公式ページより

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