古代の火星は気候変動が起きる前、微生物に満ちあふれていた可能性
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新しい研究によると、約40億年前の火星の地下には、水素を食べてメタンを生成する微生物が大量に繁殖していた可能性が高いという。
だが微生物の活動は、火星上の大気が大きく変化させ氷河期を引き起こし、自らを消滅に追いやったであろうことを研究者は結論付けた。
宇宙の生命について悲観的にさせるこの結論は、現在はフランスのソルボンヌ大学のポスドク研究員であるボリス・ソートレイ氏らによるものだ。
同氏は、生命について「微生物のような単純な生命であっても、一般に自滅するものなのかもしれません」と語っている
・火星の地下にメタンを生成する微生物が繁殖していた可能性
今から約40億年ほど前、火星は水が豊富で、生命にとっては現在よりもずっと住みやすい環境だったと考えられている。
『Nature Astronomy』(2022年10月10日付)に掲載された研究では、気候と地形のモデルに基づき、その頃の火星の居住可能性が評価されている。
それによると、その当時、宇宙線が届かない地中の数十cm下には、「水素を食べて、メタンを生成する微生物」が繁殖していた可能性があるという。
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NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターによって撮影された「ジェゼロ・クレーター」。その地中深くには、火星の生命の痕跡が残されているかもしれない image credit:2022. NASA/JPL-Caltech/USGS ・水素を大量摂取したことで氷河期に突入、火星生物が生存困難に
これは初期の地球と似たような状況だ。ところが、火星で多種多様な生命が育まれることはなかった。
水素は温室効果ガスとして機能する。だから主に二酸化炭素で占められた火星の薄い大気から水素が失われてしまうと、初期の火星にあった湿潤で温暖な気候が崩れ去ってしまうと考えれるのだ。
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太古の火星の生命は、大気から大量消費された水素と放出されたメタンの影響で、惑星の表面が氷で覆われ、居住を困難にした可能性 / image credit:Boris Sauterey Regis Ferriere
その結果は、気温マイナス200度近くまで下がる極端な寒冷化だ。地表やその近くにいた生物は、生き残りをかけてさらに深く潜っていった可能性が高い。
それとは対照的に、地球の大気は主に窒素で占められているため、そうした微生物がむしろ温暖な環境を維持する手助けをしてくれた。その為に地球は今、生物に満ち溢れた惑星となったのだ。
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40億年前の火星の予想図 / image credit: ESO/M.Kornmess・この説に反論する声も
SETI研究所のカベー・パフラバン氏は第三者の立場から、生まれたばかりの火星は温暖な海が広がる湿った環境だったと説明する。その頃の大気はほとんどが水素で占められていた。
ところが今回の研究は、火星の大気が二酸化炭素で占められていた時代を前提としたものだ。だから、その分析結果はそれより以前の時代には当てはまらないという。
結局火星に生命は存在していたのだろうか?いたとすればいつごろなのだろう?火星の生命に関する仮説は様々ある。
もしこの研究が本当なのだとすれば、火星の生命の痕跡は想像よりもずっと深いところに残されているのかもしれない。
ソートレイ氏らは、火星の生命を探す最適な候補地として、また調査されていない「ヘラス平原」とイシディス平原北西の「ジェゼロ・クレーター」を提案している。
後者は現在、NASAの探査機パーシビアランスが岩石の収集をおこなっているところだ。
References:Underground microbes may have swarmed ancient Mars / Ancient Mars May Have Been Teeming With Life, Until It Drove Climate Change That Caused Its Demise / written by hiroching / edited by / parumo
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