『ボーイフレンド降臨』キンプリ高橋海人のバックハグからの親指なで→キスという「極上の甘さ」 (2/2ページ)

日刊大衆

そんなかしこがかわいらしくて、つい後ろから抱きしめてしまうアサヒ。自分が好きな人の力になれたことへの喜びは、好きな気持ちを加速させるだろう。

 抱きしめた腕が優しくて、親指で愛しそうになでているのがたまらない。そして気持ちを伝えてキスをするのだが、これがまた甘くて、甘くて。ゆっくりと体を離して、抱きしめるではなく頭をつけて愛しさを確認するようなアサヒがとても素敵だ。台本通りなのだろうけれど、アサヒを演じる高橋の、柔らかい空気感と温かい感情が画面からあふれてくるようなシーンだった。

■恋も友情も大切にする渉

 渉(田中みな実/35)はアサヒに告白をしたが、自分ではなく、ほかに好きな人がいることを知っていた。その相手が、かしこであることに確信を持ちながら、「かしこも当たって砕けてみちゃえば?」「アサヒくんに砕けた者同士、飲もう」とけしかける。

 かしこはフラれることはない、でも素直じゃないかしこが好きな気持ちを伝えずにいたら、アサヒが記憶を取り戻してしまうだろうと見越しているのだ。記憶を取り戻したら、日本を代表する現代美術家・漆原澄人として生きていくアサヒは、もう別世界の人だ。当たって砕けても、私がいるから大丈夫だという熱い友情に泣けた。

 渉は思ったことはストレートに伝えるタイプで、感情が見えるから分かりやすい。高校時代の友人に久しぶりに会って、うれしさを爆発させちゃうようなところは、まさに渉らしいといえるだろう。

 その反面、肝心なことは言葉にしないで内に秘めている。かつて、舞台女優として活動していたが、裏方として劇団を支える側になっても文句ひとつ言わないし、一緒に暮らしていた劇団主宰の彼氏が行き詰まればゴーストライターとしてシナリオを書くこともあった。

 それでもおいしい食事を作って帰りを待つといった、けなげな部分がある。自分に期待しなくなったのは、かしこも渉も同じなのだ。誰かのために役に立ちたいと思うのは、人柄の良さもあるが、独身女性が生き抜いていくために必要なことでもあるだろう。彼氏と別れてしまい、アサヒへのほのかな想いも届かなかったけれど、渉にも幸せになってほしい。(文・青石 爽)

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