「裏切り者をみんな殺していくトーナメントの『鎌倉殿』で優勝したのは……」【松村邦洋が徹底解説する傑作NHK大河『鎌倉殿の13人』】(4)

日刊大衆

松村邦洋さん
松村邦洋さん

2022年、最も話題になったドラマのひとつであるNHK大河『鎌倉殿の13人』。小栗旬演じる主人公・北条義時を中心に、苛烈な権力闘争と鎌倉武士の壮絶な生き方を三谷幸喜脚本で描いた作品は、多くの視聴者の心を揺さぶった。本サイトは、日本列島を1年間熱狂させた『鎌倉殿の13人』について、芸能界随一の大河&日本史マニアである松村邦洋氏に取材。そこで明らかになった新たな事実とはーー。(第4回/全4回)

 今回、『鎌倉殿の13人』で源頼朝を演じた大泉洋さん(49)の名前から、「#全部大泉のせい」というハッシュタグが生まれるほど愛された登場人物たちだが、松村さんの目にはどう映ったのだろうか?
 
――『鎌倉殿の13人』には、個性的なキャストがたくさん出演していました。源義経を演じた菅田将暉さん(29)、源頼朝を演じた大泉洋さんの松村さんから見た印象はどういったものでしたか?

 菅田将暉さんが演じる義経さんはピッタリでした。義経は戦のスペシャリスト。本当に“野村野球”のように勝つための策を見出すのが上手だから、ルールに沿わないっていうかね。船を漕いでる人を攻撃しちゃいけないっていう暗黙のルールも守らない。できるできないっていう固定観念で諦めるんじゃなくて、じっくり考えてる暇があれば考える前に行動しろ、見る前に飛べってことなんですよね。

 結局、『踊る大捜査線』でも言ってたと思うんですけど、事件は現場で起きてる。会議の結論が出るまで待てって言っても、待ってたら現場って空気で変わっていくんですよ。だから、書状が届いた時には、もう新しい考えでないと、昨日の俺と今日の俺、違うんだよっていう考え方ができてるのが義経ですね。

 大泉洋さんの頼朝は、面白かったです。第1話から、口紅つけて女装して逃げてたので、“え、こんな人でいいのかな”と思ってましたけど……頼朝は、やっぱ怖い人でしたね。さっきまで笑ってたと思ったら、急に泣く。だから怖さが出てくるんですよね。三谷さんは、そういうつかみどころのなさが良い、だから面白いと思って描いていたのではないでしょうか。

■「裏切り者をみんな殺していくトーナメント」優勝者は?

――三谷さんをはじめとして、小栗さんなどのキャストが「こんなラストは例がないと思う」と『鎌倉殿の13人』最終回の放送前に話していましたが、改めて松村さんは最終回での義時の死を見てどう思いましたか?

 これはてっきり、政子が(義時に)毒を盛るんじゃないかな、と思ったんですよ。山本千尋さん(26)演じる暗殺者・トウを呼び出して“あなたにお願いがあるの”って言った瞬間にドキッとしました。

 最後、トウは政子のために動くんだと思ったんです。結局、その頼みは“子供たちに武芸を教えてあげてほしい”というものだったのでホッとしました。

 今回、裏切り者をみんな殺していくトーナメントが開催されたドラマが『鎌倉殿の13人』だと思うんですけど、結局三谷さんが一番視聴者を裏切っていた。

 “意外なラスト”と放送前に言うことに関しても、やっぱり再放送で見られても困るからだと思うんですよね。視聴率を取りたいとなると、視聴者がリアルタイムで見たくなるようなアピールをしておかないといけない。まして12月18日には『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の決勝戦がありますから、承久の乱で後鳥羽上皇と戦う前に『M-1』と戦わなきゃいけない(笑)。

■『鎌倉殿の13人』最終回を終えて、松村さんが感じたこと

 伊達政宗は天下は取れてないけど、87年の大河ドラマ『独眼竜政宗』の平均視聴率は大河ドラマ史上一番、39.7%取ってるわけです。家康、秀吉、信長ができなかったことを伊達政宗が長年の時を超えてやり遂げた。天下なんか取らなくても、視聴率で天下取ったら十分で渡辺謙さん(63)の大勝利なんですよね。

 今回『草燃える』が教科書だったら、『鎌倉殿の13人』は、その教科書に合わせてひねった面白い作品だったと思うんですけれど、やっぱりパロディこそ残るんですよね。

 きちんと元々ある型が破れるから“型破り”であって、ただ崩してたらデタラメだと思うんですよ。三谷さんの中には、『草燃える』という型があって、その型を面白おかしくパロディーにして破ったことが本当に面白かった。1年間、“型破りの大河ができたな”と思って、鎌倉時代が大好きなのも相まって、体に染み込むぐらい嬉しかったですね。

――ありがとうございました。

■プロフィール
​松村邦洋(まつむら・くにひろ)
1967年8月11日生まれ、山口県田布施町出身のお笑いタレント。ビートたけしをはじめとする芸能人の“形態模写”ものまねで人気を博す。日本史、野球、相撲などにも詳しく、著書に「松村邦洋 今度は『どうする家康』を語る」「松村邦洋『鎌倉殿の13人』を語る」(どちらもプレジデント社)、「愛しの虎 松村邦洋の阪神タイガース応援日記」(太田出版)ほか多数。

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