政界の派閥争いから生まれたヤバイ隠語「ニッカ、サントリー、オールドパー」とは?
自民党総裁選にまつわる…
言わずと知れた政権与党の自由民主党(自民党)。その総裁は、党内の選挙「総裁選」で決めるのが習わしです。
ところで1964(昭和39)年にその総裁選が行われた時には、「ニッカ」「サントリー」「オールドパー」という隠語が飛び交いました。真っ先に連想するのはお酒でしょうが、もちろん違います。一体この隠語の意味はなんだったのでしょうか?
1955(昭和30)年、当時の保守政党は日本民主党と自由党の2つに分かれていましたが、分裂していた日本社会党が統一されたのを受けて、保守政党の側も保守合同を実現。自由民主党(自民党)が結党されます。
しかしこの時も党内は完全に一つにまとまってはおらず、党内部でも対立がありました。
特に1956(昭和31)年の自民党総裁選挙では、党内の有力者同士の対立が顕著化し、それをきっかけに八大派閥が形成されました。
さらにこの八大派閥は最終的に岸信介の十日会、佐藤栄作の木曜研究会、池田勇人の宏池会、河野一郎の春秋会、松村謙三と三木武夫の政策研究会の五大派閥にまとまり、それぞれが力を持つようになります。
この五大派閥を源流とした派閥は、21世紀の今でも自民党内に存在し続けています。
派閥争いから生まれた隠語これらの派閥同士の争いが特に激しくなったのが、1964(昭和39)年に行われた自民党総裁選挙です。
この時総裁選に立候補したのは、3選を期する池田勇人と、池田の政権運営に批判的な佐藤栄作、藤山愛一郎でした。特に池田と佐藤の対立は熾烈な争いとなりました。
左から池田勇人、佐藤栄作、藤山愛一郎(Wikipediaより)
池田は一回目の投票で過半数を獲得しようとし、一方の佐藤は藤山派と二・三位連合を結び決選投票に持ち込もうと画策します。そして、両陣営による多数派工作のために多くの「実弾」が飛び交いました。
実弾というのは要するにお金です。つまり、議員たちの買収合戦とでも呼ぶべきものが行われたのです。
そして、所属している派閥の意向に従っていれば「生一本」、2つの派閥から金をもらえば「ニッカ」、3つからだと「サントリー」、そして、全ての派閥から金をもらいつつ結局誰に投票したか不明な場合は「オールドパー」などの隠語が登場し揶揄されたのでした。
結果的には党人派の支持を得た池田が勝ちます。
が、彼はその後体調を崩して入院し内閣総辞職を表明。再度の総裁選は避けようということで、話し合いにより佐藤栄作が新たに内閣総理大臣となりました。
金権政治のその後その後、1970年代になると角福戦争と呼ばれる激しい党内対立が生じます。
そして1974(昭和49)年の参院選では買収などで大量の選挙違反逮捕者を出したため「金権選挙」と批判され、さしもの自民党も野党に七議席差まで詰め寄られました。
これがきっかけで金権政治が批判され、あからさまな金の動きは表面上は無くなっていくことになるのです。
このように、「ニッカ」「サントリー」「オールドパー」は、総裁選に際していくつの派閥からお金をもらったか、ということを示す隠語でした。
今から見ればとんでもない話ですが、ある意味で大らかさや豪快さも感じさせますね。
参考資料
日刊スポーツ 札束飛び交う、推薦人は50人必要、昔の総裁選はすごかった!二木啓孝氏語る〜9月22日「くにまるジャパン極」 study-z日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
