AIの生成した顔は本物の顔写真よりもリアルに見える?新たな研究結果より (2/3ページ)
その上で、「GAN画像(Generative Adversarial Networksの略)」と呼ばれる学習画像と統計的に区別がつかないような新たな画像を生成するプロセスも生まれている。
iScience誌に掲載されたTsakiris氏による最新の研究では、こうして生み出された「人工的な顔」は時に本物の人間と区別ができない、むしろ本物の人間の顔より魅力的に感じることがあるという報告がなされている。
例えばあまり魅力的でないと評価された顔の画像が、かえってリアルであると評価されたのだという。そこまで美人や美形とはいえない顔が典型的な、基準となる普通の顔とAIが学習した結果かもしれない。
しかしこのような人工的な顔を本物と見なしてしまうことは、見知らぬ人々の輪に対する一般的な信頼度に影響を及ぼす可能性もあるとTsakiris氏は語る。
我々はしばしば対面した顔から多くのことを読み取るため、第一印象によって社会的相互作用を導く。今回の実験では、AIの生み出した人工的な顔であっても一度本物と判断した顔であれば、情報をより信頼する傾向があることを明らかにしている。本物と思われる顔ほど信頼されるのは当然といえば当然かもしれない。
しかし、偽のプロフィールがあると認識された後は相手の顔が本物かどうかにかかわらず、全体的に相手への信頼度が低下することも分かっている。この結果は、偽ユーザーの存在する環境においては人々の不信感を高めるという意味で、ある意味で有益なものであったと言えるかもしれない。
しかしうがった見方をすれば、我々のコミュニケーションのあり方そのものを徐々にむしばんでいく可能性があるという。
心理学では、現実に知覚したり体験したりした出来事の記憶と、脳内で想像するなど内的に生成した記憶とを区別する認知過程を「リアリティ・モニタリング」と呼ぶ。偽物の顔や画像、ビデオ通話をリアルに再現する技術が発達した今、リアリティ・モニタリングは自身の判断以外の情報に基づいたものである必要があるとTsakiris氏は語る。
AIが進歩した次に必要となってくるものは、AIなどで生成された偽の顔などのデータを検出するアルゴリズムの改善だとTsakiris氏は述べる。