年収443万円…平均年収で「中流」の暮らしはできるか (2/2ページ)
仮に夫が会社員として稼ぎ、妻は扶養から外れないよう月収を8万円ほどに調整して働くことで家計が回るのを「中流」だと設定したら、この男性は「中流」なのだろうか?
この男性によると、給料が振り込まれるとまず月1万5000円だという小遣いを財布に入れる。残りは家賃などの生活費と娘の学費保険で消えてしまうどころか、毎月10万円ほどの赤字になってしまうという。これでは仮に妻が働いて月8万円稼いでもまだ赤字だ。年収520万円では妻と娘を養っていくのは厳しい。男性によると「年収が700万円あればトントン」だという。
そして男性自身も月1万5000円の小遣いではほとんど何もできない。基本は弁当を持っていき、外食する際は500円以内に収めている。おごってくれる上司と飲みに行くのが「ご褒美」である。男性の年収は平均を超えているが、「中流」という意識はなく「下の方で生きている」と考えている。
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もちろん独身か結婚しているか、共働きかどうか、子どもがいるかどうかで平均年収である443万円の重みは変わってくる。しかし、本書で紹介されている例からは、たとえ共働きで平均年収を大きく超える世帯年収がある世帯でも、「平均的」とはとてもいいがたい暮らしをしている現状が浮かび上がる。
自分の暮らしぶりを周りと比べることに意味はない。しかし、普通に働いて普通に稼いでいる人が普通に暮らせない社会は、やはり何かがおかしい。この社会のゆがみをもたらしたものが何なのか、そしてこれから日本社会はどうなっていくのか。「平均年収」を稼ぐ人々の苦しい生活からは、「中流層」の静かな地盤沈下が垣間見える。
(新刊JP編集部)