大谷翔平、ダルビッシュ有、佐々木朗希…WBC優勝の鍵は投手陣!侍ジャパン「最強の魔球」解剖15

日刊大衆

写真はイメージです
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 きたる3月9日に東京ドームで開幕する1次ラウンドまで、あと少し。直前の6、7日に京セラドームで予定されている阪神、オリックスとの強化試合では、いよいよ大谷翔平らメジャーリーグ勢も合流する。巷では14年ぶりの“頂点奪還”への期待が高まりつつあるが。

「侍ジャパン投手陣の制球力は(第1回大会の時点でも)海外にも知られていたが、実際に戦った各国代表には、おそらく想像以上だったはずだ。大リーグでは甘く入ると長打されるため内角攻めは少ないが、彼らは外国人選手のパワーを恐れることなく果敢に攻めた。その差が勝敗を分けた」

 初代王者に輝いた第1回大会の王貞治監督も当時をそう振り返るように、WBCのような短期決戦は、投手力こそが鍵を握る。今回は、そんな侍ジャパンが誇る選ばれし15人の投手陣にスポットライト。

 彼らの誇る“世界レベル”の魔球を改めて紹介していこう(最終ページ表組も参照)。

■三振が取れる速球派が際立つ

 何より、まず目を見張るのがダルビッシュ有、大谷翔平を筆頭とした、所属チームで先発ローテの中心を担うメンバーの豪華さだ。反面、第1回、第2回大会の渡辺俊介や、同第3回の牧田和久らに象徴される変則投手の招聘はなし。

 リリーフ陣を含めても、とりわけ球威で押せる速球派の抜擢が際立った。

「実は、栗山英樹監督が重視した選考基準は“速球に威力があって、三振が取れる決め球がある”こと。今大会では、投手降板後のDH出場を認める“大谷ルール”が初採用となった一方で、2020年から採用のMLBにならい、ワンポイント登板が禁止されます」(スポーツ紙デスク)

 “小細工は無用、力のある投手を”の方針は、そういった事情も踏まえたうえでの戦略だったわけだ。

 また、今大会も1次ラウンド65球、準々決勝で80球、準決勝・決勝でも95球と球数制限は厳格に規定されている。30球以上で中1日、50球以上で中4日の登板間隔を空けることも必要となるため、投手の起用には細心の注意が必要となる。

「そのため先発ローテは4連戦の1次ラウンドを見据えて、ダル&大谷に、山本由伸佐々木朗希を加えた4人。右の戸郷翔征、高橋宏斗と、今永昇太、宮城大弥の両左腕が第2先発に回ると予想されています。抑えは登板間隔との兼ね合いもあるため、栗林良吏、大勢の“Wストッパー”。打順のめぐり合わせや当人の調子いかんでは、左の松井裕樹の起用もあるはずです」(前同)

■“生きた教科書”変化球マスター

 そんな顔ぶれの中でも、やはり一番の“目玉”は、胴上げ投手になった第2回大会以来の代表選出となるダルビッシュだろう。

 大リーグ勢が何かと制約に縛られる中、ベテランの彼が強化合宿の初日から合流を許可されたことは、ジャパンにとっては朗報といえる。

「初日にキャッチボール相手を務めた、日本ハム時代の女房役でもあるブルペン捕手・鶴岡慎也も、“すべてが素晴らしい”と、その多彩な変化球を絶賛。翌日以降のブルペンでは、詰めかけた報道陣に交じって、佐々木や大勢、高橋宏らの若手もネット裏に集結。“次元が違う”と驚嘆していました」(現地在住のフリー記者)

 ダルといえば、主体とするカットボールだけでも3種類。「曲がり幅、緩急差も含めれば20種類もの球種を投げ分ける」(前同)とされる“変化球マスター”。しかも、そのすべてが大リーグという世界最高峰の舞台で通用する一級品なのだから、若手らには、まさに“生きた教科書”だ。

「若い彼らに惜しげもなくコツを伝授する様は、さながら“ダルビッシュ塾”。そのダルにブルペン投球を絶賛された高卒3年目の高橋宏も、“左打者のインハイとアウトハイで投げるスライダーの軌道が違う”と感心しきり。スライダーの実戦投入を見据える佐々木が、熱心に教えを請う姿も印象的でした」(前同)

■“守護神・大谷”構想は?

 一方、海の向こうで調整を続けた大谷は、オープン戦での実戦登板を経て、開幕直前に合流。アメリカ代表の主将も務める盟友トラウトも脱帽の特大弾を放つ打者・大谷の好調ぶりも伝わるが、「不透明だった彼の投手としての起用法は、エンゼルスのネビン監督が“先発限定”と明言。栗山監督が明かした“守護神・大谷”構想は、これで白紙となりましたが、ある意味、戦略面はクリアになったとも言えます。1次ラウンドと準決勝か決勝のいずれか……2度は確実に先発を託せるわけですしね」(前出のデスク)

 投手・大谷の持つ最大の武器は、大リーグ屈指の奪三振率を誇るストレート、スライダー、スプリットのコンビネーション。

 同じリリースポイントから、まったく異なる軌道を描く様は、現地の評論家や目の肥えたファンも「信じられない」と舌を巻く。

 むろんジャパンの投手陣には、スライダーはもちろん、スプリットやフォークなど“落ちる球”を決め球に持つ選手も数多い。“お化け”と称されるフォークを持つ山本や佐々木、“育成の星”宇田川優希らが、リアル二刀流とどんな“化学反応”を見せるかにも注目したいところ。

■本塁打王シュワーバーやMVPゴールドシュミットらアメリカも強力

 では、予想される実際の対戦では、どんな強打者が彼らを待ち受けるのか。

 大リーグ評論家の福島良一氏は、各国の代表入りメンバーを、こう分析する。

「中南米の選手には、総じて早打ちのパワーヒッタータイプが多い印象ですが、ことアメリカに関しては違う。主将のトラウトを筆頭に、パワーと選球眼を兼ね備えた忍耐強い打者がズラリ。目立った “弱点”も見つかりません」

 なにしろアメリカ打線は、昨季ナ・リーグMVPのゴールドシュミット、首位打者のマクニール、本塁打王シュワーバー、打点王アロンソらがひしめく重厚な布陣。一方、優勝候補一角のドミニカ共和国にも、ソトやマチャド、ゲレーロJr.らスターがそろう。

「とりわけアメリカで警戒すべきは、シュワーバーでしょうか。昨季のプレーオフでは、カブス時代の同僚で仲もいいダルビッシュからも特大の本塁打。チームでは1番に入ることも多く、相手投手に球数を放らせて出塁する術にも長ける。当たりが出始めると止まらないタイプだけに、警戒すべき選手です」(福島氏)

 ちなみに、強打マクニールの三振率10.4%は、大リーグ全体で4番目の低さ。

 メジャー1年目に新人最多53本塁打でタイトル獲得のアロンソは、メジャー4番目の得点期待値を誇る“変化球打ち”の名人だ。

「変化球の得点期待値でいえば、ドミニカのマチャドは、ジャッジに次ぐ全体2位。ソトは早打ちの中南米勢では例外的な存在で、四球率20.3%は、メジャートップ。初球ボールの通算出塁率は、驚異の5割2厘にも達します」(前同)

■鍵となるのは「高目の速球」

 ただ、我らがジャパンにも勝機は十分にある。その鍵となるのが、ズバリ「高目のストレート」だ。

 第1回大会の代表で、その後に大リーグも経験した薮田安彦氏が解説する。

「僕らが現役の頃は、いわゆる“動くボール”を低目に集めて打ち取る、というパターンが主流でしたが、野球の常で、時がたてば打者も、それには対応するわけです」

 その結果、現在では投手側が、高目のフォーシームを多投し始めたという。

■国際大会で効力を発揮するには!?

「結局、日本人投手の多くが得意としているのは、きれいな“真っすぐ(ストレート)”なんです。それに加え、フォークのような落ちる球、タイミングを外すチェンジアップなどの組み合わせると、国際大会では非常に効力を発揮するはずです」

 確かに、代表に選出された投手15人の特性を見ていくと、総じて、それらに合致するスタイルだ。

 どちらかといえば、軟投派なのは、今永や宮城ら。ただ、彼らは緩急差のあるカーブやチェンジアップを武器に持つ。

「当然、各種のデータも事前に集まってくるはずですし、ダルビッシュ投手と甲斐拓也捕手が、ライブBP(日本のシート打撃)などで熱心に話し込んでいる様子からも、ある程度、情報も共有されている。外国人相手には“出たとこ勝負”な面もありますが、あとは公式球へのアジャストと、本番に向けて、どれだけ調子を上げていけるかでしょう」(前同)

■甘い球はすべてスタンドに飛ぶ

 優勝を勝ち取るには、まずは1次ラウンドの突破が大前提となる。スタープレーヤーが居並ぶアメリカやドミニカとのガチンコ対決も、それなくしては実現しない。

「アメリカの球場より狭く飛距離の出やすい東京ドームなら、中距離打者でも十分に本塁打が狙える。その意味では、韓国代表で長打力もあるエドマン、キューバのモンカダ、ロベルトあたりも細心の注意が必要です。大リーグ勢には、とにかく失投をしないこと。結局のところ、甘い球は、確実に運ばれてしまうということです」(福島氏)

 ジャパンが誇るキレ味鋭い“魔球”が、屈強な強打者たちを翻弄するか。

【画像】サムライJAPAN15投手「最強魔球リスト」

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