郵便記号はなぜ「〒」なのか?日本独自の象形の理由とは

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郵便記号はなぜ「〒」なのか?日本独自の象形の理由とは

ところで日本の郵便記号はなぜあの形なのでしょう。外国人から見るとわかりにくいと言われる日本の郵便記号。確かに独特な象形といえます。


郵便記号は明治20年(1887年)にかつての逓信省(ていしんしょう)が考案しました。当時逓信大臣だった榎本武揚が決定したと言われています。

逓信とは「取り次いで音信を通ずること」という意味で、宿駅から宿駅へ荷物を送る「駅逓」と「電信」の文字を組み合わせたものだと言われています。

ちなみに日本産業規格(JIS)において郵便記号」は「〒」、「郵便マーク」は「〠」を指しますのでお間違いのないように。※この郵便マークは民営化以降、公には使用されなくなっています。

(旧東京中央郵便局の局舎を活用した商業施設、KITTE)

考案者は?

〒が制定されたのは明治20年(1887年)2月14日。考案したのは榎本武揚ではなく、中島泉次郎といわれています。逓信省会計局長の山内堤雲が「分かりやすい旗じるしの考案を」と、同じ会計局の職員の中島に頼んだ、というのがいきさつのようです。

彼があれこれ思案していたところ、郵便汽船の旗を思い出します。

日本郵船氷川丸

横浜港に外国船が入港した際に郵便物を取りに行く船で、「日本郵船」という会社がありましたが、そのマークは白地に赤の二本線。岩崎弥太郎が創始者の「郵便汽船三菱会社」と、三井系国策会社の「共同運輸会社」が合併した会社で、更なる発展を目指して地球を横断するという意気込みが込められたものでした。

中島はそれを見て、日本だから二本という説明を受け、そこに縦棒を加えたら丁度「テイシンショウ」の「テ」になると考えたそうです。

『あの旗を見て、「ありや一体どんな意味だらう」ときいてみると「日本の船でせう、だから赤い線を二本引いて日本サ」とアツサリ言はれて、「ナル程、日本の船だから二本の線を引く、二本は日本か」と感心したことをフツト思い出しまして、それでは二本の線へタテに一本線を引けば片仮名のテになる。日本の逓信これなら一ばんカンタンで分りやすいだらうとカラス口で〒を一つとモ一つローマ字でTを一つ・・・略』
『逓信協会雑誌 1940年1月(377号)中島談より』原文まま

要するに「T」「〒」も逓信省(ていしんしょう)の「テ」の形を表すので丁度云いと考えたようです。この二案を山内局長と一緒に逓信大臣の榎本武揚に見せにいったところ、「〒」の方がいいと言うことで、正式に採用されることになったということです。

また、「T」は国際郵便で料金不足を意味するため、それは避けた方がいいという思惑もあった、と云われています。

ちなみに中島氏は本職は建築技師であり、「旧米沢高等工業学校本館(写真下)」など優美な建築物も後世に残しています。
参考:日本郵船歴史博物館
写真:すべてACフォトより

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