北野武「本能寺の変」を描いてカンヌで絶賛も…一時公開危機『首』の2大タブー!本当の裏切り者と金銭トラブルの深層
“世界のキタノ”は健在――北野武監督(76)6年ぶりの新作映画『首』が、第76回カンヌ国際映画祭で上映されると、観客から5分間に及ぶスタンディングオベーションで称賛された。
「今作は、たけしさんが構想から30年もの間、温め続けてきたという戦国スペクタクル。映画化に先立ち、2019年に原作となる歴史長編小説『首』を書き下ろしています。
■西島秀俊や加瀬亮が!
今回、明智光秀役に西島秀俊(52)、織田信長役に加瀬亮(48)など、“北野組”の役者が勢ぞろいし、本能寺の変を“たけし流の解釈”で描き出したんです」(映画ライター)
1582年、明智光秀が謀反を起こし、京都・本能寺に滞在する主あるじの織田信長を襲撃。多勢の明智軍に囲まれた信長は寺に火を放ち、自害したとされる本能寺の変。これまでNHK大河ドラマでも、『麒麟がくる』など16作が題材にしている。
だが、北野監督は現地で行われた合同取材で「日本の時代劇は裏の話が描かれていなくて、きれいごとでやっている」などと発言。“歴史のタブー”に斬り込んだ理由を語っている。
「これまでの大河では、通説通りの、光秀による本能寺への討ち入りが最大の見せ場。でも、たけしさんは、羽柴秀吉が本能寺の変の黒幕であると考え、自ら秀吉役を演じ、別の視点から、この謀反劇を描いているんです」(スポーツ紙記者)
■徳川家康を討てと…
本誌連載『日本史ミステリー捜査隊』の著者で、新著に『超新説で読みとく信長・秀吉・家康』(ビジネス社)がある歴史研究家の跡部蛮氏は、こう指摘する。
「実は徳川家康が本能寺の変の翌日に、生前の信長によって本能寺に招かれていたことを示す史料があります。そこで私は、本能寺の変は信長が光秀に本能寺で家康を討てと命じ、それに逆らった結果、起きたのではないか、と考えたこともありました」
また、秀吉黒幕説についても、あり得る話だと語る。
「信長をめぐり、各勢力の思惑が重なって本能寺の変が起きたことは十分に考えられます。その延長線上に立てば、秀吉が計略をめぐらせ、信長を亡き者にしようとした可能性はゼロではないでしょう」(前同)
また、本作で北野監督が作中に意図的に描き込んだのが衆道(男色)だという。
「北野監督の考えでは、戦国時代は武士や一般民衆の間にも、衆道は慣習としてあったもの。合同取材でも、それがあるからこそ、“殿様の盾になって死ぬ美学”が存在すると語っていました。衆道=愛と描いており、今作でも北野映画に通底する愛、死、暴力が表現されています」(映画ライター)
■ネットフリックスが10億円を追加?
今秋公開予定の『首』だが、ここまで紆余曲折が。
公開前に北野監督と製作側のKADOKAWAが契約をめぐり、対立。一時は、“お蔵入り”とも囁かれた。芸能リポーターの城下尊之氏は、騒動をこう振り返る。
「当初は、KADOKAWAの出資で5億円程度の作品になりそうだったけど足りなくなった。そこから“ネットフリックスが10億円を追加したのでは”という話もありましたが、実は、マネージャーである今の奥様が上手に手配したといわれているんです」
■“黒幕”は噂の妻か
完成報告会見で、KADOKAWA代表取締役社長の夏野剛氏が、「製作費15億円、全部うちが出した」と明かしているが、それを実現させた“黒幕”が噂の妻だったのだろうか。
「たけしさんは、レッドカーペットを奥さんと手をつないで歩き、素顔を初めて公開しました。最高の舞台で“お披露目”は、映画公開まで支えてくれた妻への、感謝の気持ちだったのかも」(芸能記者)
カンヌで観客を“クビったけ”にした、本作の公開が待たれる。