ストラディバリウスを超えるバイオリンが作られない意外な理由とは (2/2ページ)

新刊JP


バイオリンの名器「ストラディバリウス」は、億単位の値がつくことで有名です。
ストラディバリウスは、アントニオ・ストラディバリによってイタリア北部のクレモナで作られていたバイオリンで、現存するのはバイオリン、ヴィオラ、チェロなど約600挺。

しかし、クレモナでは現在もバイオリンが作られており、製造技術もストラディバリが楽器作りをしていた17世紀と遜色はないのに、ストラディバリウスを超える弦楽器は彼以降生まれていません。これは考えてみると不思議な話です。

実はこの謎を解明するのに、気象が大きなヒントをくれます。
ストラディバリウスは、クレモナの町の北部にあるイタリアアルプスの標高800~1200mに生えている「トウヒ」というマツ科の針葉樹を使って作られていました。このトウヒの材質がストラディバリの時代と今では違っているのではないかという説があるのです。

気候変動が世界的な話題となることが多い昨今ですが、地球全体の気温は太陽活動や火山の噴火などによって変化します。15世紀から19世紀半ばまでは、現在よりも地球の平均気温は1℃ほど低かったそう。この時期を「小氷期」といいます。

ストラディバリが生きていた17世紀後半は小氷期の中でも太陽活動がもっとも低迷した時期。この寒冷な気候のせいでトウヒの成長が遅くなり、結果として年輪幅が狭く硬い材質になりました。

現代のバイオリン製作者の技術がストラディバリと同等でも、今ではストラディバリが使っていたものと同じ材質のトウヒは手に入りません。これが、ストラディバリウスを超える音色のバイオリンが現在も作られない理由とされているのです。

本書では私たちの生活だけでなく、文化や歴史とも深いかかわりのある「天気」や「気象」について、おもしろいエピソードを交えてわかりやすく解説。身近すぎてあまり関心を向けない天気。本書を読むと空や雲、太陽の見え方が変わるはずです。

(新刊JP編集部)

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