日本人は怒りを抑える能力が低い (2/2ページ)
著者の豊富な経験が惜しみなく開陳されているのが本書の魅力である。
たとえば、ありがちな失敗というものがある。
技術者の典型的な失敗は、技術者は自分の知識や経験に自信と誇りを持っているため、それを披露したいと思ってしまう。けれども、交渉においてはそれが邪魔になることがあるのだ。
著者は自分の知っている現象を顧客に披露したが、未熟な知識だったために質問に答えられず、余計な宿題を抱えることになった。技術的には間違いではなかったが、議論の進め方は完全に間違っていた。
技術者は自分の知識を認められたいという思いをコントロールし、事実や確認された知見に基づいて議論を組み立てなければならない。感情的にならず、冷静で平静を保つことが重要である、というのだ。
また、日本人の弱点についても率直に述べている。
著者の経験では、交渉の過程で、欧米人に比べて、怒りをあらわにするアジア人、特に日本人は多いという。
日本人は怒りに弱いのだ。怒りを抑える能力が低いので、それを意識してしかるべき訓練をする必要があるという。
そこで著者は提案する。
「交渉において怒りは何の役にも立たない」から、「怒らないことで私が得をする」という考えに昇華させてはどうだろうか、と。
またグローバル交渉術を会得するためには、自分の位置づけを理解することが必要。日本は欧米やインドと比べてどのように違うのかを知っている必要がある。
たとえば、日本はタテ型社会で、上下関係が親密であり、所属歴が長い人が影響力を持つ。インドはカースト制度が根強く残るヨコ型社会で、出身階層によって出世やキャリアが制限される。欧米もヨコ型社会で、インドほど極端ではないが、階層間の交流が少なく、個人主義が強い。これらの歴史的背景は、組織やビジネスに対する考え方や行動に影響を与えるのである。
詳しくは7月下旬に発売される本書を読んで、グローバルに活躍する技術者への道を歩んでほしい。
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