何て読む?古代日本の落とし物を管理していた「贓贖司」の職務とは

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何て読む?古代日本の落とし物を管理していた「贓贖司」の職務とは

日本では落とし物をしても、交番に相談すれば、かなり高い確率で手元に戻って来ます。

当たり前のようですが、これは実は世界的に見ても珍しく、素晴らしいことなのだそうです。諸外国ではそのまま盗まれてしまうのが普通なのだとか。

ところで、昔の人は落とし物をしたら、どこに相談したのでしょうか。調べてみたら、そういう担当部署があったようです。

そこで今回は、平安時代以前に落とし物を管轄していた贓贖司(あがもののつかさ/ぞうしょくし)について紹介。落とし物の外には、どんな仕事をしていたのでしょうか。

贓贖司とは

【結論】盗品や没収品、ほか落とし物を管理する部署

贓贖司という名前のうち「贓(ゾウ/かくす)」とは盗んだり、だまし取ったりした品物。つまり犯罪による不正取得物を押収・管理しました。

盗まれた金品は押収され、まず贓贖司へ引き渡される(イメージ)

元の持ち主が判った場合は返還したのか、それとも丸ごと国庫へ入れたのでしょうか。手数料を差し引いて返還した可能性も考えられますね。その辺りの事情は、改めて詳しく調べたいところです。

次に「贖(ショク/あがなう)」とは財産刑(没収や罰金など)によって納められた金品を指し、それを国庫に入れるのも彼らが担当していました。

そのほか闌遺(らんい)も彼らの管轄でした。闌遺とは家畜が脱走してしまうことで、これが転じて遺失物(落とし物)を意味するようになります。

「すみません、ウチの馬が逃げちゃったんですけど、こちらへ届けられていませんか?」

なんて相談があったのでしょうか。そういう場合、発見した皆さんは正直に届けてあげたのか気になりますね。

また、なりすましを防止するための返還手続きなどについても調査を進めたいところです。

贓贖司に勤める人々

逃げ出し、保護された牛(イメージ)

そんな贓贖司には、以下のような人々が務めていました。

贓贖正(あがもののかみ)

贓贖司の一等官(かみ、長官)。定員はとうぜん1名。位階は正六位上に相当します。

贓贖佑(あがもののすけ)

こちらは二等官(すけ、次官)、定員は同じく1名。位階は従七位下に相当しました。

※三等官(じょう)に相当するとの解釈もあるようです。

贓贖大令史(あがもののだいさかん/だいれいし)

贓贖司の四等官(さかん)に当たり、定員は1名。位階は大初位上(だいそいのじょう)。

※大初位は九位より下、少初位(最下級)の上。

贓贖少令史(あがもののしょうさかん/しょうれいし)

こちらも四等官。定員は一名で、位階は大初位下に相当。彼ら上位四職で一等から四等を担当していたのでしょう。

使部(つかいべ/しぶ)

贓贖司の事務官で、定員は10名。

直丁(じきてい)

贓贖司の雑役官で、定員は1名。

やがて刑部省、そして検非違使に吸収される

「あーあ、贓贖正もお役御免か」「また再任官活動が大変ですね」

そんな贓贖司ですが、大同3年(808年)になると刑部省(さばきのつかさ/ぎょうぶしょう)へ吸収されてしまいました。

きっと人員や経費を削減したいとか、司法業務のワンストップ化といった事情によるものでしょう(そのためか、刑部省も間もなく創設された検非違使に職掌のほとんどを奪われてしまいます)。

今も昔も、落とし物は司法の管轄としてとらえられていたのですね。落とし物をしたら警察に相談、落とし物を拾ったら警察に届ける。そんな助け合いの精神が、末永く受け継がれて欲しいものです。

※参考文献:

笠井純一 編『八省補任』八木書店、2010年12月 吉川真司『律令体制史研究』岩波書店、2022年1月

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