絶妙な注ぎ加減。イギリスで自動ビールサーバーの普及が進み、バーテンダーに失業の危機
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熱い試合で喉がカラカラになったスポーツファンにとって、ハーフタイムの”水分補給”と言えばやはりビールだ。
だがここで問題が発生する。ビールはバーテンダーにより手動で1杯ずつ注がれるため、売店は長蛇の列となる。
前半戦が終了し、売店にダッシュするも、後半開始のホイッスルが鳴るまでにビールを買うことができるかどうかは、ある意味賭けだ。
そこで悔しい思いをした男性は、画期的な発明をする。手動よりも早く、そして絶妙な加減で注いでくれる機械式の自動ビールサーバーだ。
・絶妙の注ぎ加減ですばやくビールを提供できる自動ビールサーバー
スコットランド、ロバート・ゴードン大学でMBA取得を目指していたサム・ペティファー氏は、ビールの売店が混雑していたせいで、ラグビーの決定的瞬間を逃して悔しい思いをした。
そして、もう誰にもそんな思いをさせないための発明を思いついた。
それが最新式の自動ビールサーバー「EBar(Eバー)」だ。
ペティファー氏が考案したビールの自動販売機「Eバー」なら、コップに速やかにビールを注いでさっと席に戻ることを可能にする。
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すでに、イギリス各地のスタジアムをはじめ、国内には40ヶ所のキオスクにEバーが設置されている。
たとえば、マンチェスターにあるサッカースタジアム「オールド・トラッフォード」。
ここで行われたクリケット伝統の試合「ジ・アッシズ」(イングランド代表とオーストラリア代表との試合)では、英国の紳士淑女に冷たいビールがふるまわれた。
また先日の開催された芸術フェス「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」にも設置され、4ポンド(約730円)のビールが人々の喉のかわきを癒したという。
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・イギリスのみならぬ世界展開の動き、バーテンダーに危機が?
Eバーは今、イギリスだけでなく、ヨーロッパやアメリカにも広めようとビジネス拡大を狙っている。ペティファー氏らが掲げるスローガンは、「世界のビールの提供方法を変える」だ。
こうした動きに対して、Eバーがバーテンダーから仕事を奪うのではと懸念する声もあるようだが、そんな心配はなさそうだ。
イギリスはEUから離脱し、もちろん新型コロナにも苦しんだ。おかげで今、国内ではビールを注ぐバーテンダーが不足しているのだという。
Eバーはイベント会場などで、そうした人手不足を解消することを狙ったものだ。
Eバー1台が1時間に注げるビールは、およそ68~85リットル。
サーバーから適度に泡立ったビールを注ぐのは案外コツがいるものだが、Eバーは特許取得ずみの技術でカップに圧力をかけるために、泡をこぼすことなく上手に注いでくれる。
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その働きは人間のバーテンダー2、3人分だという。
イギリス国内の規制の関係で、身元確認のスタッフが立ち会うなど、完全無人とはいかないようだが、それでも疲れ知らずでいつまでもビールを注いでくれる。
数ヶ月後には、注ぐ量を102~113リットルにまで性能アップした改良型Eバーも登場する予定であるとのことだ。
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EBar Campaign - elf-service beer vending・イベントやスポーツ観戦用。本格的なお酒はバーテンダーのいるバーで
ちなみにこうしたビール自販機がバーテンダーの仕事を奪うという懸念の声に対しても、もう一つ指摘しておくべきことがある。
それはEバーはあくまでサッカー場のようなもともとバーなどない場所に設置されるということだ。
もっと本格的なお酒やカクテルを楽しみたい人は、修行をつんだバーテンダーがいるお店にいけばいい。両者の棲み分けはきちんとされているのだ。
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ちなみにイギリスでアルコールを購入できる年齢は18歳からだ。日本では20歳未満の飲酒は認められていない。
20歳未満の者の飲酒を防止するために、購入者の年齢を確認した上で酒類を販売することが求められており、購入者の年齢を確認できる酒類自動販売機への切り替えが進んでいる。
このビールサーバーが、もし年齢認証できるものであれば、日本のスタジアムに設置される可能性もあるのかな?それとももうあったりする?
ここ十数年、競技場とか競馬場などに行ったことないからちょっとよくわからないんだけど。野球場とかではビールの売り子さんが回ってるよね。テレビで見た知識だけど。
References:End of the bartender? The UK vending machines pouring pints for the masses | Food & drink industry | The Guardian / written by hiroching / edited by / parumo
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