「絶対に許せないこと」がある人に響く物語 (2/2ページ)
一見落着、と思いきや、ブギーのそばにやってきたエイミーに気づかない村人もいた。彼はブギーに石を投げつけ、それはあろうことかエイミーに当たり、エイミーは絶命してしまう。
かいじゅうブギーは、
村を壊しました。
村の生きものたちを食べました。(中略)
自由を食べました。
絆を食べました。
平和を食べました。
命を食べました。
愛を食べました。(『なんでもたべるかいじゅう』より)
濡れ衣を着せられ、挙句の果てに大事な友達を殺された悲しみと怒りがブギーを怪物に変えた。あらゆるものを破壊し尽くすブギー。ブギーが自分のやったことに気づいた時、ペントンはすでに生物のいない砂漠の星となっていた。
エイミーを殺した者たちを許せず、そして自分のことも許せないまま生命のいない荒野をさすらうブギーは、いつしか小さな川にたどりつく。そこには一輪の花が咲いていた。
ブギーはこの花との交流を通して「他人を許すこと」そして「自分を許すこと」について考えていく。怒りや不寛容がうずまく世界を穏やかにできるのは許すことだけだ。
自分の裡に生まれたどす黒い感情とどう向き合い、整理して受け入れるか。
罪を犯した人をどのように許すか。
罪を犯した人は一生罪悪感を背負わないといけないのか。
個人にも社会にも深い問いを提示する物語である。
(新刊JP編集部)