名医3人がこっそり実践する「生涯現役」ビンビン生活習慣20

日刊大衆

写真はイメージです
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 日々のわずかな心がけが、寿命をグンと延ばすことも! 天才ドクターの知恵がつまった“元気の秘訣”で長生きしよう!

 新型コロナの感染法上の分類が「5類」に。少しずつ、以前と変わらない日常を取り戻している人も多いのでは? だが、3年にわたるコロナ禍の影響は、想像以上に大きいようだ。

■がんや心臓病、脳血管疾患など懸念

「生活スタイルの変化による食生活の乱れや、外出自粛による運動量の減少などで、がんや心臓病、脳血管疾患など、生活習慣病の増加が懸念されているんです。医療機関の混乱で、がん検診などを受ける人が減ったのもマイナス材料です」(医療ジャーナリスト)

 生活習慣病は日本人の死因の上位を占めている。

「ですから、健康長寿のためには、食事や運動などの生活習慣を改善して、がんなどのリスクを抑えるのが一番です」(前同)

 そこで本誌は、名医3人に徹底取材。生涯現役のために、医師自らが実践している効果抜群の生活習慣を紹介しよう。

■夏バテ対策には

 まずは、身近なところで夏バテ対策から。この夏は全国各地で35度以上の猛暑日が過去最多を更新する、例年にない猛暑。心身の不調を覚えている読者も多いことだろう。

「夏は、暑いからと水分をむやみに取る方がいるんですが、かえって危ない。私は、水の飲み過ぎに注意しています」と語るのは、予防・長寿医学の専門家で『ほどほど養生訓 実践編』(日本評論社)などの著書がある、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏だ。

「水分を取り過ぎると、血中の塩分が薄まって、低ナトリウム血症を起こして“水中毒”になるんです」

 その症状は頭痛や嘔吐、けいれんなどで、最悪の場合は死に至ることもあるという。

 水分に限らず、冷たいものの食べ過ぎや飲み過ぎは、夏バテにつながりやすい。『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)など健康番組の出演が多く、“下町の赤ひげ先生”として親しまれる、秋津医院(東京都品川区)院長の秋津壽男氏が、こう言う。

「胃腸は冷たいものに弱いんです。その機能が低下すると、食欲不振や下痢、自律神経失調症など、夏バテを引き起こします」

 そのため、おなかを冷やさないように心がけている。

「とはいえ、これだけ暑いとアイスが恋しくなるもの。私は、アイスキャンディーなどの氷菓より、牛乳などを原料にしたアイスクリームを選んでいます。そのほうが、空気が含まれる分だけ、おなかに入ったときに温度を下げないからです」(前同)

■塩分の取り過ぎに注意

 また、高血圧や腎臓病などの不安から、塩分の取り過ぎに気をつけている人もいるだろう。

 厚生労働省もウェブサイトで、“食塩の過剰摂取”は“日本人の最も重要な栄養課題”と断言しているが、「熱中症や夏バテは、塩分不足が原因というケースもあります。これは、そうめんやざるそばなど、あっさりしたものばかり食べるためでもあります」(同)

 そこで秋津氏は、塩分を補うために、梅干しやみそ汁を活用していると言う。

「長時間外出する日は、朝ごはんで梅干しを食べるか、みそ汁を飲む。涼しくなって、汗で塩分を失わなくなったら、その習慣を止めるだけでいいんです」(同)

■ビールや日本酒の温度は?

 また、こう暑いと、仕事が終わった後の一杯を楽しみにしている人も多いのではないだろうか。

 自他ともに認める左党の秋津氏は、飲酒時に心がけていることがある。

「最近は、氷点下に冷やしたビールや冷酒がブームになるほどですが、お酒は冷やさないほうが健康に良いし、お酒本来の味わいも感じられます。ビールの本場、ベルギーでは基本的に常温で出されますし、私もビールは冷蔵庫で冷やさずに飲んでいます」(同)

 日本酒も、冷やより常温やお燗にしたほうが体に優しく、おいしいという。

 また、生活習慣病の予防には、「週に最低1日の休肝日が必要」といわれる。

 しかし、前出の岡田氏によると、酒を毎日、ほどほどに飲んでいる人が、最も長生きすると言う。

「注目すべきは、糖尿病の予防効果です。まったく飲まない人、週に1〜6日飲んでいる人、毎日飲んでいる人の3者で比べてみると、毎日飲んでいる人が最もインスリン抵抗性が低く、糖尿病になりにくかったんです。ちなみに“ほどほど”というのは、ビールなら350ミリリットル缶1本、日本酒なら0.6合ほどです」

 また、よほどの大酒を飲まない限り、飲酒と肝臓病に強い関係はないという。気をつけるべきは、むしろ別の点にあるようだ。

「晩酌で問題なのは、アルコールそのものではなく、唐揚げなどのハイカロリーな、おつまみを食べてしまうこと。それを控えればいいんです」(前同)

■外食続きでもバランス確保!

 酒の次は食事法。厚生労働省などは、日本人の望ましい食生活として「食事バランスガイド」を定めている。

「一日分の食事を主食、副菜、主菜など5つの区分に分類して、それぞれ、どれくらいの量を食べればいいかを示しています」(管理栄養士)

 だが、現場で多くの患者と接する医師は、もっとシンプルに考えている。前出の秋津氏は、外食で心がけていることがあるという。

「患者さんを診ていると、ランチなどの外食は、自分の好きなものや手軽なものばかり食べている方が少なくないですね。これでは、どうしても栄養が偏ってしまいます。前回と違う店、違うメニューにするだけでも、だいぶ変わりますよ」

■積極的に肉を

 中高年が気にすべきは、食事のバランスだけではない。“ドクター林”として新日本プロレスなどのリングドクターを勤める、弘邦医院(東京都江戸川区)院長の林雅之氏は、積極的に肉を食べているという。

「年を取ると、肉類が苦手になり、ごはんや麺類などの炭水化物に偏りがちです。しかし、肉などの動物性タンパク質には、細胞を再生したり、活性化させるために必要な栄養素が多く含まれています。高齢者ほど意識して食べなければなりません」(林氏)

■効果の高い運動はコレ

 食事とともに、生涯現役のカギになるのが運動だ。秋津氏が、こう語る。

「中高年にとって、最も手軽で効果の高い運動は、ウォーキングです。生活習慣病はむろん、認知症や『ロコモティブシンドローム』(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態)を予防するためにも大切です」

 一般的には、1日1万歩が必要といわれるが、「中高年は、7000〜8000歩で十分だと思います。私は、スマホに無料の歩数計アプリを入れています。こうして自分がその日、どれくらい歩いたかを把握できると、自然に歩数が増えるんですよ」(前同)

 岡田氏は、歩数だけでなく、歩き方も重要だと指摘する。

「同じ距離でも、正しい姿勢で早歩きした場合と、だらだら歩いた場合を比較すると、前者のほうが圧倒的にカロリーを消費しているというデータが出ています。生活習慣病の予防には、背筋を伸ばし、かかとから着地して、やや早歩きで歩くのがいいですね」(岡田氏)

■お風呂の入り方も工夫

 キビキビしたウォーキングでひと汗かいたら、風呂でさっぱりしたいところだ。

「ただ、体を洗うときに、タオルでゴシゴシとこすってはいけません。汚れだけでなく、皮膚の防御膜となっている角質や善玉菌まで落としてしまうからです」(前同)

 さらに、中高年は皮膚が弱くなるため、傷がつきやすいという。

「そこから細菌が侵入すると、炎症を起こしてしまいます。これが『蜂ほ う窩か織しき炎え ん』で、この炎症がひどくなると発熱や悪寒、倦怠感などの全身症状を引き起こすことになるんです。

 ですから私は、タオルではなく、手のひらで、じかに洗っています」(同)

 入浴の仕方を工夫することで、健康に欠かせない良い睡眠を得られると語るのは、林氏だ。

「ぬるま湯にゆっくりとつかることで、自律神経のうち副交感神経が優位になり、リラックスできます。これが自然な眠りを誘うんです。入眠効果が出るのは入浴の1時間後ぐらいなので、そこから逆算します」

■リスクが一番低い睡眠時間

 また、年を取ってから、つい早起きしてしまう、若い頃と比べて長く寝られなくなったと不安を覚える人も、いるかもしれない。

 だが、岡田氏によると、睡眠時間は6時間で十分だという。

「心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる動脈硬化と睡眠時間の関係について、調べたことがあるんです。そのリスクが一番低かったのが6時間ほどの睡眠で、9時間以上の寝過ぎはリスクを高めていました。また、休日に寝だめするのも、よくありません」(岡田氏)

■エアコンの切タイマーはNG

 短時間でも、質のよい睡眠を取ることが、健康長寿につながるようだ。そのためには、寝室の環境に気を配りたい。

「中高年ほど節約意識が強いのか、“もう夏も終わりだから、エアコンを使わずにすませよう”とか、“一度眠ってしまったら平気だから、タイマーをかけて夜中にエアコンを切ろう”という声を、よく聞きます」(秋津氏)

 しかし、これでは寝苦しくなって睡眠が浅くなり、結局、体を壊してしまう。

「私は、暑いときは健康のためと割り切って、一晩中、エアコンをつけて寝るようにしています。本当は、体力が低下する中高年ほど、エアコンが必要なんです」(前同)

■下半身の元気も

 最後になるが、生涯現役のためには、下半身の元気も欠かせない。

 病院でED外来を併設している林氏によると、ポイントは、血流を良くすることだという。

「たとえば、血液をサラサラにする納豆やオクラなどを食べるのが一つの手ですが、急にたくさん食べたからといって、すぐに効果が出るわけではありません」(林氏)

 他にも、定期的に運動することで中性脂肪を減らしたり、血圧や血糖値を下げることで、血流を改善する方法もあるが、いずれも持続することが重要だ。

「はっきり言えるのは、タバコをやめること。喫煙は確実に血流を悪化させます」(前同)

 今回紹介した、名医が実践している生活習慣は、明日からできる簡単なものばかり。ぜひ、お試しあれ!

■まだある! 名医が実践ビンビン生活習慣

生野菜サラダは食べない「生野菜は量をこなせないもの。その点、ゆでたり蒸したりしたほうが、野菜をたくさん食べられます。加熱しても、基本的な栄養素は変わりません」(秋津氏)

食卓に調味料を置かない 便利だからとテーブルの片隅にしょうゆや塩などを備えている人は多いが、「置いていると、つい使いたくなって、塩分を過剰に摂取してしまうんです」(岡田氏)

お酒の前に温かいスープを「お酒は胃の負担になりますが、それを防ぐのが温かいスープです。飲む前の肉汁スープなどで、アルコールの吸収が遅くなり、悪酔いを避けられます」(秋津氏)

イヤホンで音楽を聴かない「難聴は認知症のリスク因子の一つ。だから、イヤホンをつけて、大音量で音楽などを聴かないこと。大音響のコンサートに行く際は耳栓を持参します」(岡田氏)

テレビはできるだけ見ない「画面を見ている間はボーッとして、体を動かさなくなります。テレビを長時間視聴している人ほど寿命が短いことは、データで実証されています」(岡田氏)

昼寝は5分にとどめる「日中に眠気を感じたら、我慢せずに寝ること。長時間眠る必要はなくて、5分ほど寝て起きるだけで、疲れも取れます。夏バテ対策にも効果的ですよ」(林氏)

健診前に頑張らない「健診前に無理にダイエットしたり、断酒をしても、長続きしません。健診の結果を見て、減量したり、酒を控える人のほうが長生きできるんですよ」(秋津氏)

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