「百人一首」の順番を入れ替えると見える?1000年の壮大な歴史ミステリ (2/2ページ)
しかし、野田さんが並べ替えた「真序版」では、
・君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ(光孝天皇)
・春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山(持統天皇)
・秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ(天智天皇)
・田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士のたかねに 雪は降りつつ(山部赤人)
である。4首のうち3首は共通しているが、柿本野人麻呂の歌を光孝天皇の歌と入れ替えて順番を変えると、春夏秋冬という季節の移り変わりが鮮明な歌の集まりとなる。歌の最後も「~つつ」がそろい語感がいいし、「衣手」「白妙」といった共通のワードも出てくる。順番を入れ替えたことで、テーマと語感とイメージがマッチした、歌の美しいワンセットが出来上がるのだ。
『秘められた真序小倉百人一首』では、このような歌のセットが節となり、章となって、最後に一つの壮大な叙事詩の様相となる。
それぞれの歌を個別に見ているだけでは絶対にわからない、100首をある順番で通して読むことではじめて体験できる世界観は圧巻。百人一首に親しんだことがある人であれば、没頭できる一冊である。
(新刊JP編集部)