「百人一首」の順序にひそむ1000年前の謎 (2/2ページ)

新刊JP

それに、そうやって覚えていく過程で、百人一首が全体で一つの絵になっていることに気づいたんです。

それで、いろいろと並べ替えていくと、選者であった藤原定家の意図のようなものがおぼろげながら見えてきた気がします。

――たしかに、百人一首はあまたある歌の中から藤原定家が100首を選んだものですが、中には響きが似た歌がいくつも含まれています。定家がなにか意図をもって編纂したと考えたくなりますね。

野田:あまりにも作為的に思えるんですよね。たとえば「いい歌」を集めようというコンセプトであれば、もっと別の歌があったはずなんです。どの歌人にも代表的な和歌があるわけですが、西行などはわざわざ比較的マイナーな歌がピックアップされています。

だから藤原定家には本人なりの意図や筋書きがあって、その筋書きに合う和歌を選んだという印象を受けています。

――百人一首には「歌番号」があります。その順序が一般的に知られている百人一首の順番ということになりますが、この歌番号はどのように決まったのでしょうか。

野田:一般的に知られている百人一首の順番は、天智天皇から始まって古いものから新しいものという順番で並べられています。内容的には自然を歌ったもの、世を憂える歌、恋の歌など、内容が異なる歌がばらばらに並んでいて、選者の意図のようなものは見えません。 内容を揃えた形に変えたらどんな歌世界が見えてくるかという関心が芽生えて、それが『秘められた真序小倉百人一首』を作るきっかけになりました。並べ替えたらまったく違う姿が見えてきました。

――真序を定めていく作業がどのように行われていったのか詳しくお聞きしたいです。

野田:通勤中に頭の中で並べ替えの試行錯誤を延々と続けました。スマホができてからは文書作成アプリを使えるようになったのでかなり楽になりましたね。自分なりに工夫してぴったりくる並べ替えを見つけていくのは楽しかったです。

――百人一首の歌の順序を入れ替えるという取り組みはこれまでにもいろいろな人が行ってきたことなのでしょうか。

野田:並べ替えた方が本来の姿に近いとの指摘は織田正吉の『絢爛たる暗号 百人一首の謎をとく』(1978)でもされています。私はこの本が刺激となって並べ替えの試行錯誤を重ねて今回の出版に至ったのですが、この本を読んでから出版まで30年以上経過しているのに驚いてしまいます。

(後編につづく)

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