祝!八冠!藤井聡太21歳「全タイトル制覇」驚愕裏側【画像】完全制覇までの歩み

日刊大衆

写真はイメージです
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 14歳の神童は、わずか数年で将棋界を席巻した――。歴史的快挙までの道のりと圧倒的強さの理由を追う!

■将棋界に新たな金字塔

 “天才”が、将棋界に新たな金字塔を打ち立てた。藤井聡太七冠(21)が、10月11日に行われた第71期王座戦の第4局で、永瀬拓矢王座に勝利。シリーズ成績3勝1敗で「王座」を獲得し、史上初となる8大タイトル制覇を達成したのだ。

「将棋のタイトルは、竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、叡王の8つ。1996年に羽生善治九段が全タイトルを制覇していますが、その頃はまだ七冠でした。八冠制覇はまさに、前人未到の大偉業と言えます」(全国紙文化部記者)

 17歳11か月という史上最年少で棋聖を獲得して以来、一度もタイトルを失うことなく、達成した八冠。その間、わずか3年というスピードもさることながら、際立つのは、その“強さ”だ。

「藤井さんは、これまで計80局のタイトル戦を戦っていますが、その勝率はなんと8割(64勝16敗)で、しかも連敗が一度もない。将棋界でもトップ中のトップが戦うタイトル戦において、この成績は驚異的としか言えませんね」(前同)

 ただし、八冠最後の試練となった王座戦を勝つのは、けっして容易ではなかったようだ。プロ棋士の森雞二九段は、次のように語る。

「王座4連覇中だった永瀬さんは、藤井さんの研究仲間。相撲のぶつかり稽古のような1対1の練習対局を重ねてきた、いわばライバルのような存在です。藤井さんを知り尽くした、最強の相手だったと言えます」

 そんな難敵を相手に、王座戦の第1局は黒星スタート。本誌の詰将棋を担当する、将棋連盟監事の佐藤義則九段は、こう解説する。

「たとえるなら、藤井さんは短期決戦を得意とする、100メートル走の選手。一方、永瀬さんは持久戦を得意とするマラソン選手で、王座戦では、永瀬さんがうまく“マラソン対決”に持ち込み、優位に進めていました」

 その後、第2、3局では藤井が勝利したものの、内容的には永瀬王座のペースだったという。そして今回の第4局でも、序盤から完全に永瀬が支配していた。

「お互いが持ち時間を使い切り、終盤で1分将棋に突入しましたが、永瀬さん優勢のまま。AI(人工知能)による評価値では、藤井さんの勝つ確率が1%にまでなりました」(前出の記者)

 1対99。絶体絶命の状況で“奇跡”が起こる。

「藤井さんがしぶとく耐えつつ、迎えた123手目。永瀬さんの一手で、評価値が1%から84%まで、ひっくり返ったんです。諦めない藤井さんの驚異の粘りが永瀬さんのミスを誘った形ですが、まさに“世紀の大逆転劇”と言っても過言ではありません」(前同)

 そのまま勝利したが、この驚異的な終盤力には、前出の佐藤九段も、こう唸る。

「たとえ勝率1%でも逆転はあるという、将棋のゲーム性が見えた対局でした。また、藤井さんのミスをしない将棋と、その強さを改めて実感させられた。間違いなく、今年一番の対局だったと思います」

■棋聖で「AI超えの一手」

 では、そんな史上最強の“八冠王”は、どのように実力を高めてきたのか。

 振り返れば、2016年12月に史上最年少の14歳2か月でプロデビュー。それから4年もたたない2020年7月。初タイトルとなる「棋聖」を獲得した。

「これは、屋敷伸之九段が持つ18歳6か月を30年ぶりに塗り替える新記録で、当時はまだ高校生でした。加えて、相手は当時三冠だった渡辺明九段。現役最強とも称される棋士を倒したことも、大きな衝撃を与えました」(将棋関係者)

 このときの第2局では、藤井が指した「△3一銀」が、将棋AIが6億手読んで初めて最善手と分かった「AI超えの一手」として、大きな話題となった。

「人間が瞬時に6億手を読むのは不可能なので、藤井さんは、これまでの研究や実践経験を基に、この手には何かあると思って指したんだと思います。それが、3年が経過した今も話題に挙がっているんですから、まさに歴史を変えた一手だと思います」(佐藤九段)

■王位、叡王、竜王を獲得

 そして棋聖獲得から1か月後には、二冠目の「王位」を獲得。当時、史上最年長のタイトルホルダーだった“中年の星”木村一基九段との「年の差対決」も注目を集めた。木村は、かつて本誌に、王位戦での対局を、こう振り返っている。

「(コロナ過による対局自粛があり)その前後で藤井さんの印象が大きく違いました。おそらく外出禁止期間にかなり研究をされていたのでしょう。“まさにトップの状態に入っているな”と実感させられました」

 “トップの状態”に入った天才は止まらない。21 年の9月に「叡王」、11月には将棋界の最高序列タイトルである「竜王」を獲得する。

「相手はどちらも豊島将之九段でしたが、当時、対戦成績では藤井さんが大きく負け越していて“天敵”とも呼ばれていた。そんな強敵を相手に、特に竜王戦では4連勝で勝ち切ってしまった。二冠保持者に対して、ここまで一方的に勝つとは、誰も予想していなかったはずです」(将棋界関係者)

■卒業目前の高校を自主退学

 実は、この年の1月、藤井は卒業目前の高校を自主退学している。それは“将棋に専念する”という強い覚悟からだったようだ。

「師匠の杉本昌隆八段は、“(自主退学で)将棋の研究に多くの時間を費やせるようになったのが大きい”と分析。結果、弱点だった序盤戦術、センス、感性がトップ棋士に追いついたと語っていました。“覚悟”が藤井さんを、さらに強くしたと言えますね」(前同)

■賞金ランキング1位、王将、棋王を奪取

 竜王となった藤井は、現役棋士の序列1位に。さらに優勝賞金4400万円を得たことで、22年度の賞金ランキング1位(1億2205万円)にも輝いた。まさに、名実ともに将棋界のトップに立った瞬間だった。

 この後には、初タイトル戦の相手だった渡辺明と、再びタイトルをかけて対戦。22年2月に「王将」、23年3月に「棋王」を奪取している。

 前出の佐藤九段は、この時期に藤井の将棋が大きく変化したと語る。

「始めの頃は鋭い攻めが光る、若々しい強さで、棋聖戦の“3一銀”など、センセーショナルな手を、たくさん出していました。でも、タイトル戦を重ねていくと、どっしりと構えて、負けない将棋を指すようになった。本来なら、経験豊富なベテランが得意とする戦い方ですが、20代で、その境地に到達したことに本当に驚きました」

■ついに「名人」へ

 そして、藤井はついに、竜王と並ぶ将棋界の2大タイトルである「名人」への挑戦権を得る。

「藤井さんは小学生時代の文集に“名人をこす”という夢を書いていました。のちのインタビューでも、“もう時効にしてほしい”と笑いながらも、“名人は子どもの頃から大きな存在”と、その強い思いを改めて口にしていました」(前出の関係者)

 名人とは、それだけ特別な称号なのだ。棋聖や王位のタイトル獲得経験もある森九段は、こう説明する。

「名人は、江戸時代初期からの肩書きで、将棋界を代表する証と言っていい。私も過去に名人戦を挑んだ際は覚悟を決め、髪を丸めて戦ったほど。それだけ重みのあるタイトルなんです」

 23年6月、悲願の瞬間が訪れる。タイトルホルダーだった渡辺明との名人戦を4勝1敗で制し、「名人」を獲得したのだ。

「谷川浩司九段の最年少名人記録(21歳2か月)を更新しただけでなく、七冠を達成したことで、羽生善治九段の保持していた最年少七冠記録(25歳4か月)を4年以上も更新。もはや塗り替えられないだろう“ダブル快挙”となりました」(文化部記者)

■「実力がまだまだ足りない」

 そして今年、史上初の全冠制覇を成し遂げた藤井。会見では、「実力がまだまだ足りない」と語っていた。

「藤井さんは日々進化しているので、これからも簡単に負けないでしょう。若い世代の台頭がなければ、今後20年は藤井天下が続くでしょうね」(森九段)

 天才はまだ飛躍する。

【画像】「タイトル完全制覇までの歩み」

※年齢は当時

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