源氏物語の主人公・”女好き”の光源氏、実は男性も恋愛対象だった![前編]【光る君へ】
2024年の大河ドラマ「光る君へ」の主人公・紫式部が平安時代に書いた「源氏物語」。千年の時を経てなお、読み継がれている大ベストセラーです。
光り輝くような美貌の持ち主・光源氏は、艶やかな女性遍歴から「光源氏=女好き」というイメージが強いもの。けれども、「男色」が貴族社会の間で流行っていたとされる平安時代らしく、実は「男性」にも心惹かれていたようです。
次々と女性遍歴を重ねる光源氏だが…
京都市勧業館「みやこめっせ」前の源氏物語石像(光源氏と紫の上)(写真:photo-ac)
紫式部の「源氏物語」は全54巻にわたる超大作小説。容姿・才能すべてにめぐまれた光源氏と、さまざまな女性たちの艶やかな恋愛模様が美しい言葉で綴られています。
もちろん恋愛だけではなく、日本の文化・文学を知る上でも貴重な小説でもあり、あの川端康成や三島由紀夫も、源氏物語を愛読していていろいろなヒントを得ていたそうです。
「源氏物語」は映画やドラマ、漫画などさまざまな作品にもなっているので幅広い世代に知られています。
わずか10歳そこそこの少女にまで……
光源氏は、次から次へと女性遍歴を重ねますが、生涯叶わぬ恋をし続けたのは5歳年上の継母・藤壺。そのため、18歳の頃、病気治療のために訪れた北山で女性の部屋を覗き見をし、藤壺によく似ているまだ10歳そこそこの美少女「若紫」にも熱い想いを寄せるほどでした。
「若紫」。飼っていた雀の子を逃がしてしまった幼い紫の上と、柴垣から隙見する源氏(写真:wikipedia)
光源氏が誰彼構わずに女性遍歴を重ねるところ、同時に複数の女性と付き合うところ、母親に恋焦がれる「マザコン」のようなところ、まだ子どもの少女にも色恋をしかけるところや、「女性に節操がない」「よく泣く」などのことから、「源氏物語は好きだけれど光源氏は嫌い」という人も多いものです。
そんな「女性好き」のイメージが強い光源氏ですが、寵愛したのは女性だけではなく男性も対象だったよう。
自分に冷たい女性より弟の「少年」に心惹かれていく
例えば、光源氏がまだ10代の少年にも想いを寄せる場面があります。
いくら言い寄っても拒み続ける冷たい女性より、その女性の弟で自分を慕ってくれる少年を「愛おしい」と想うようになっていくのです。
夜、少年を自分の傍に寝させて「君の姉さんに嫌われて辛い。辛い」とこぼしながらも、少年を可愛く想いはじめる……そんな場面も登場するのです。
日本では、男性が男性を愛する「男色」の歴史は古く「日本書紀」にもその記録があると伝わっています。仏教が伝来した奈良・平安時代には貴族階級の間に広まったという説もあります。
貴族の子弟が寺院に入り、僧侶の身の回りの世話をするという慣習があったのですが、美少年はお稚児さんとして男色の対象にされていたようです。
美しきもの・愛しきものに惹かれやすく自由奔放な恋愛体質だった光源氏が、可愛らしくほっそりとした体つきで自分を慕ってくる少年に、愛しさが募り思わず抱き寄せて愛でたいという感情を持っても、不思議ではないでしょう。
さらに【後編】に続きます。
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