「あけましておめでとうございます」という挨拶、実は人ではなく年神様に対しての言葉だった

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「あけましておめでとうございます」という挨拶、実は人ではなく年神様に対しての言葉だった

新年恒例の挨拶「あけましておめでとうございます」

当たり前のように使うこの言葉ですが、よくよく考えてみるといつから使われているのでしょうか。

実はお正月という概念は仏教伝来より古いものの、いつが起源なのかわかっていません。お盆と対をなしており、その半年後にあるのが正月で、お盆と同じく先祖を祀る行事でした。お盆は仏教の「盂蘭盆会」と習合して先祖供養、お正月は年神様を迎える祝いの要素が強くなっていきます。後述しますが、この年神様というのも実は先祖霊のこと。

あけましておめでとうございます、という言葉は人に対してではなく年神様に向かって挨拶する言葉だったのです。

めでたいは「芽出度い」

また「めでたい」という音は「芽出度い」とも表します。

二十四節気の考えでは立春を1月としています。二十四節気とは、紀元前4世紀ごろの中国で発明された、四季・気候などから地球上の一年を仕分ける方法です。その上で立春は正月節ともいい、旧暦では12月後半から1月前半を指しました。

立春は春の到来をことほぐもの。めでたい、には「新しい春を迎え芽が出る」という意味が込められていたのですね。

年神さまとは

『古事記』では須佐之男命神大市比売(かむおおいちひめ)の間に生まれた大年神(おおとしのかみ)という神を指しますが、正月にお迎えする年神様は特定の神ではなく、いわゆるご先祖様の霊と考えられてきたようです

古来、人は亡くなってから33年の期間を過ぎると、先祖の仲間入りをするという考えがありました。神となった先祖の魂は便宜上、「祖霊神(それいしん)」と呼びます。

「祖霊神」は子孫の近くの山にすんでおり、下界を見守っています。人々は祖霊神を春になると迎え入れて「田の神」として祀り、秋の収穫を終えると再び「山の神」として送り出すのです。

そして再び正月になると年神様を迎え入れるため、近くの山から採った材料で「門松」を造り、玄関に供えて目印とするのです。さらに秋に収穫した稲の藁を使って「しめ縄」を張り、年神様を迎えるための聖なる空間を作ります。

祖霊神は「田の神」「山の神」「年神様」と季節によって呼び方が変わるものの、元は先祖の霊ということになります。これは仏教とは違う、日本古来の民間信仰の風習です。

田の神と九重連山

鏡餅は魂の依り代

また鏡餅はその形から神道の神鏡にも通じ、家に迎えた祖霊神の魂が宿る依り代とされています。お年玉は本来「年魂」とも表し、この魂の宿った餅をご神体として雑煮として食べ、自分の体に取り入れるという行為のことでした。

このお餅がお金に変わったのは、昭和30年代後半の高度経済成長期の都市部を中心に主流になっていったようです。

筆者が子供の時は札ではなく五百円玉など硬貨ばかりでした。もしかしたら丸い形が鏡餅の代わりだったのかもしれませんね。
農耕民族であること、祖先の霊を神として崇めていたこと、お正月はこの2つを特に強く感じられる行事なのですね。このことを知ると、震災から始まってしまった日本ですが、めでたくないから挨拶しない、というのはちょっと違うことがわかります。

これからも心の中でしっかりと年神様を迎え「おめでとうございます、見守りください」と挨拶したいものです。

参考:紀文陰陽道の本(学研)など

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