中国で戦場にいる敵人の行動を予測する軍事AIの訓練が開始される
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中国軍(中国人民解放軍)の戦略支援部隊に所属する研究チームが、戦場で潜在的な敵の人間の行動を予測する軍事AIを訓練しているそうだ。
その特徴は、バイドゥの「文心一言(Ernie)」やアイフライテックの「訊飛星火(Spark)」といったChatGPTのような、市販の大規模言語モデル(LLM)を使用していること。
軍事AIは戦場に関するデータを用いて、こうした規模言語モデルと議論を交わし、敵側の人間が次にどのような一手を取るのか予測するという。
・戦場で敵側の人間の行動予測する軍事AI
中国の軍事AI(人工知能)は、前線部隊からもたらされた大量のセンサーデータや報告書を与えられると、その情報を文心一言や訊飛星火といった市販のAIチャットボットに渡す。
そこから敵の人間がとるだろう次の行動について、様々なシミュレーションを重ねながら予測するという。
このプロジェクトは、解放軍信息工程大学のソン・イフェン氏らによるもので、その詳細は昨年12月に中国の学術誌『Command Control & Simulation』に掲載された。
研究チームによれば、このプロジェクトは人間と機械どちらにとってもメリットがあるものだという。
人間側は意思決定を支援するツールが手に入り、機械側は戦闘の知識を洗練させて、戦闘認知レベルを向上させることができる。
これは、中国軍が市販の大規模言語モデルの使用を認めた初めての事例でもある。
論文において、軍事AIと大規模言語モデルの関係について、具体的なことは触れられていない。一方、この研究は予備的なもので、あくまでも研究目的だったことが強調されている。
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photo by iStock・人間の行動原理を理解した軍事AIを作り上げる試み
今回の研究の主な狙いの一つは、軍事AIをより人間に近い存在にし、人間の指揮官の意図をより正確に理解できるようにすることだ。
これが重要なのは、人間の気まぐれさや適応能力が、しばしばAIの予測の斜め上をいくことがあるからだ。
そこで大規模言語モデルを組み込み、より人間らしさを学習させることで、人間の行動をより的確に予測できるようにしようというのだ。
実際それが有効だったことを裏付ける証拠もある。
それは2011年の米軍によるリビア侵攻をシミュレートした実験の結果だ。AIは文心一言に、両軍の武装や配置に関する情報を与え、対話を行った。それによって、米軍の次の動きを見事に的中させたという。
論文では次のように述べられている。
最高位の生命体である人間であっても、認識力は完璧ではなく、頑固なまでの信念、すなわちバイアスを持つことが多い。
ゆえに戦場におけて脅威の過大評価や過小評価をしたりすることもある。機械が人間の状況認識を支援することは、開発の方向性として重要なものだ
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現時点で、中国の軍事AIはまだまだ完璧ではない。市販の大規模言語モデルは戦争用に作られたものではないため、予測が一般的すぎて戦場で役に立たないという可能性もある。
この弱点を補うために、研究チームは軍用AIで訊飛星火によって分析されたマップを作成するといった工夫を行っている。
これにより大規模言語モデルの性能が向上し、より実用的な予測ができるようになったという。
研究チームによると、今回公開されたものは、この野心的なプロジェクトの氷山の一角に過ぎないとのこと。
こうした動きが、人類が機械と絶望的な戦いを繰り広げるターミネーターの世界線に続いていないことを願わんばかりだ。
References:China have built an AI army general using LLMs like ChatGPT / China’s military lab AI connects to commercial large language models for the first time to learn more about humans | South China Morning Post / written by hiroching / edited by / parumo
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